‘TRPG’ カテゴリーのアーカイブ

初めての冒険

2009年6月9日 火曜日
この記事の所要時間: 約 6分40秒

 日曜日も、Takeon邸で、TRPG部です。
 週末まるごとTRPGなんて、とってもブルジョワジー! 時代に逆らう最先端! いくらアクセス数下がっても気にしない!
 それにしても、「クイーンズブレイド」が、書店でTRPGの棚にTRPGとして置いてあるのには、違和感を覚えまくりました。とてもじゃないですけど、ロールプレイできません。
 さて。
「ソード・ワールド2.0」です。
 マスターは、前日と同じくKayata。
 プレイヤーは、Tikiを加えた、Takeon、Nyagon、ハゲの4人。
「ソード・ワールド2.0」キャンペーン、本番セッションの開始です。
 この日だけで、セッションを2回も行いました。

 プレイ日記は、脳内補正が、かなりかかってます。
 プレイヤー視点なので、書きやすいというか、筆が滑るというか。
 で、実はフェルリック以外の技能が、うろ覚えだったりします。名前間違ってたらどうしよう。

セッション第1話


フェルリック 人間 男性 【ファイター2/フェアリーテイマー1】 冒険者レベル2
 プレイヤー:ハゲ
タケ・オン ルーンフォーク 男性 【マギテック2/スカウト1/シューター1】 冒険者レベル2
 プレイヤー:Takeon
エルサイス エルフ 男性 【プリースト2/セージ1】 冒険者レベル2
 プレイヤー:Tiki
アルベルト ナイトメア 女性 【グラップラー2/エンハンサー1】 冒険者レベル2
 プレイヤー:Nyagon


 戦士として最弱の生命力を持ち、フェアリーテイマーの両親を持つ、貧弱人間フェルリック。
 反抗期の彼は、メルフェンな両親の妖精溢れるほえほえ空間に反抗し、家出を決意します。
 やっぱ男は冒険者だッ!
 漢なら、戦士だッ!
 盗んだシルフで走り出す、17の夜です。
 近所には、ルーンフォーク村がありました。フェルリックは、友達のタケ・オンを、強引に誘います。
 そして、旅立ちます。
 目指すは、冒険に溢れているという噂の、ルーフェリア。
 ここで、名を上げるのです!
 そんなわけで、ルーフェリアへ到着しました。
 虚弱体質のフェルリックは、血を吐くくらい、疲れ果てていますが、タケ・オンは、ピンピンしてます。
「大丈夫ですか、ご主人様」
「誰がご主人様だ。友達だろ。つか、くたくただよオレは」
「そうですか。残念です」
「しょーがないだろ。体力ないんだから」
「そっちじゃないです」
「お? おい、あれ見ろよ、タケ・オン」
 噴水のある広場までくると、身綺麗な衣服を着た、冒険者風の男女が、目につきました。
 聖印を垂らした、美形で知的なエルフと、腰にナックルを提げた、神秘的な色香を漂わす美しい女性です。とても絵になる、美麗なふたりです。キラキラ輝いてます。眩しいです。
 美形のエルフと、目が、合いました。
 フフン、と、鼻で笑われたような気がしました。
 フェルリックは、カチーンときます。
 ちくしょう。同じ冒険者なのに、なんだこの差は。こちとら、ぐでぐででゲホゲホで汗臭くて髪の毛ボサボサでひもじくて血まで吐いてるのに。隣の友達も、美女とはほど遠い、ロボロボしい男だし。
「おうおうおう! なに見てんだよ!」
 フェルリックは、からみました。
 まるで、チンピラです。
 まったくの、いいがかりです。
「えー。だって、汚いしー。臭いから、近寄らないでくれるー?」ナックルを提げた美女が、顔を歪めます。
 いいがかりじゃなかったみたいです。
「な、ななななんだとぅっ!?」
 噴水の広場で、口喧嘩が始まりました。しかし、相手も負けてません。むしろ、ふっかけたフェルリックの方が、血圧低下でダウン寸前です。
 気付くと、周りに人だかりができてました。
 その中に、子犬風の、もふもふがいました。
 買い物かごを提げた、コボルトです。
 ナックル女の目が、キュピーン! と輝きました。
「か、かわゆぅ?いっ!」
 ナックル女は、コボルトをひっつかんで、ぎゅーぎゅー抱きしめてます。コボルトが死にそうになってたので、フェルリックが助けます。
 コボルトのお蔭で、なんとなく、場がなごみました。
 コボルトの名は、エンク。この先にある冒険者の店”水晶の欠片亭”で、働いてるみたいです。
 エンクは、手を振って、お買い物に行きました。
「……さて。タケ・オン。冒険者の店に行こっか」フェルリックが、いいました。
「……アル。私たちも、向かいましょう」美形のエルフが、いいました。
 ギロリと、睨み合います。
 ギスギスしたまま、フェルリックたち4人は、”水晶の欠片亭”へ向かいました。

”水晶の欠片亭”は、何故か、がらんとしてました。店の外には、困り顔のひとたちが何人かいましたが、入ってきません。
 その理由である、女将のトンデモ料理を食しながら、フェルリックたちは、渋々、自己紹介しました。
 美形のエルフの名は、エルサイス。ルーフェリアの神官の息子だそうです。彼も、プリーストでした。
 ナックル女の名は、アルベルト。グラップラーです。実はナイトメアで、両親はリルドラケンですが、彼女を置いて冒険に出ちゃったみたいです。
 ふたりとも、まだ冒険に出たことはないようです。
 フェルリックは、ピンときました。
 タケ・オンは、マギテックで、スカウト技能を持ってます。
 自分は、頑丈な戦士。
 4人で組めば、いい感じのパーティーになりそうです。
 前衛のフェルリックのHPが、パーティー内でダントツに最低値であることが、不安材料ではありますが。

 エンクが、帰ってきません。エンクは、”水晶の欠片亭”の料理長なのですが、夕方なっても、買い物から帰ってきません。
 心配になったフェルリックたちは、捜しに行きます。
 町外れで、子コボルトを発見しました。エンクと、子コボルトの父が、蛮族に連れられていったことを、知ります。
 放っておくことは、できません。
 足跡を頼りに、森を進みます。
 小屋を、発見しました。
 様子を探りにいったタケ・オンが、敵に発見されてしまいます。
 小屋から出てきたのは、ボガード。しかも、2体。
 タケ・オンがボコボコにされましたが、フェルリックたちは協力し、ボガード2体を倒しました。
 そして、エンクと、子コボルトの父を、蛮族から解放することに、成功しました。
 めでたしめでたし。

”水晶の欠片亭”に戻ったフェルリックたちは、女将や、エンクの料理を待っていたひとたちに、感謝されます。
 初めての冒険。
 巧くいったような気がします。
 この4人なら、どんな冒険でも、こなせるような気がする。フェルリックは、そう思いました。
「んじゃー、これからも、よろしくな!」フェルリックは、手を差し出します。
「……まあ、いいでしょう」苦笑するエルサイスは、手を握り替えしてきます。
「足、引っ張らないでよねー」アルベルトも、頷きました。
「よかったですねえ、ご主人様」タケ・オンは、拍手します。
「誰がご主人様だよ。友達だろ。つか、腹減った。エンクに、なんか作ってもらおう!」
「そうですか。残念です」
「え。……お、お前、女将の料理の方がいいのか!?」
「そっちじゃないです」

 第2話につづく

 第1話のシナリオは、そうです。「ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち」の、1話目を、使ってます。
 実はプレイヤーなのに、読んでしまってました。迂闊でした。事前に、そうと知らされた時は、おろおろしました。
 でも、要所要所では、他のプレイヤーに行動を任せたので、知らないふりを突き通すことができた気がします。
 たぶん。
 それにしても、貧弱戦士は、戦闘で微妙でした。
 もちろん、プレイヤーのダイス運も、関係してます。
 ていうか、ナイトメア強い。グラップラー強い。しかも、アルはグラップラー技能3になったのに、フェルリックはレベルが上がらなかったです。HPがちょっとだけ上がっただけです。まだパーティーで最低のHPです。
 ひぎぃ。

ハードボイルド兎

2009年6月8日 月曜日
この記事の所要時間: 約 3分52秒

 土曜日は、Takeon、Kayata、Ganhiro、友人N、Nyagon、ハゲで、「ターミネーター4」を観て、居酒屋で軽く一杯やり、「ソードワールド2.0」をプレイしました。
 ついに、「ソードワールド2.0」です。
 マスターは、Kayata。プレイヤーは、Takeon、Nyagon、ハゲの3人。
 いよいよ、プレイヤーです。
 15年ぶりの、プレイヤーなのです。
 ドッキドキの、わっくわっくです。
 マスターのKayakaも、ドッキドキのわっくわっくだったに違いありません。だって、マスターやるの、15年ぶりくらいのハズですから。
 そんな、ドッキドッキのわっくわっくな感じで、セッションがスタートしました。
 今回は、Tikiが仕事で参加できません。お試しプレイ的で、試し運転的な、セッションです。

 セッションに参加させるキャラクターは、タビットの、ビビデビーです。
 もっふもっふの、ウサギ人間です。
 メルフェンな、フェアリーテイマーです。
 能力値を3回振り直しても、ルールブックに載ってるサンプルキャラクター(つまり平均的な能力値)に、ひとつを除き負けまくっているという、負け犬人生が確約されたキャラクターです。負け犬っていうか、負け兎です。とてもリプレイ本には出演できないくらいの、低能力値っぷりです。ふん。
 ビビデビーは、フェアリーテイマーがレベル2。セージがレベル1。冒険者レベルは2です。
 どんなキャラクターにするかは、すでに考えてありました。
 普段は、シブくてニヒルなハードボイルド兎。
 交渉の時とか、誰かに助けを求めなくちゃいけない時には、つぶらな瞳で懇願し、かわいらしく「きゅーん」とか鳴いちゃう。
 こんな感じの、ありがちな二面性のある兎にしたかったんですけど、実際やってみたら、ただの出しゃばりなオッサン兎になってしまいました。
 15年ぶりのプレイヤーだったんで、想定していたキャラクターを、演じられなかったのです。
 15年前だったら、演じられたか、っていうと、自信なかったりしますけども。
 でもまあ、これはこれでいいでしょう。
 いいってことにしといて欲しいと思います。

 Nyagonのキャラクターは、ドワーフ娘。イケイケで、頭の中にひまわりが咲いてる系の戦士です。笑顔で両手斧をぶんぶん振り回します。ドワーフなので、ヒゲフェチです。
 Takeonのキャラクターは、パーティーのリーダーです。穏和で真面目なタイプです。人間のスカウトです。フェンサー技能で戦闘もできます。レンジャー技能も取ってたかも。パーティーが生き抜くために、必要な人物です。
 そこへ、プリーストのエルフ娘が、あやしげな剣を持ってやってきました。NPCです。メガネの巨乳娘です。いろいろとバッチリOKです。視聴率アップです。
 なんとなくバランスが取れたパーティーになったところで、迷宮へ挑みました。

 今回の任務は、メガネエルフ娘が持ってきた、あやしげな剣を、迷宮に返すこと、です。
 穴を渡るところでビビデビーが無駄に張り切って失敗こいたり、ガーゴイルでちょと苦戦したり、妖精の部屋でティモテだったり、ヒゲを手に入れたり、向こうからわざわざラスボスが歩いてきてくれたり、巨乳エルフ娘が意外な活躍を見せてくれたり、剣の新しい持ち主になることをキャンセルしたりしつつ、わりと危なげなく、任務完了しました。
”剣のかけら”を、たくさん出していただいたので、”ペーペーの冒険者”から、”顔くらい知ってる冒険者”になりました。
 メガネ巨乳のエルフ娘が、また、あやしげな鍋を持ってきて、ズコーっ! となったところで、セッション終了です。
 お疲れ様でした。
 経験値をいただき、ビビデビーは、フェアリーテイマーがレベル3になりました。冒険者レベルが3に上がりました。パワーアップです。

 というわけで、初めての「ソードワールド2.0」でした。
 ルールがシンプルで、理解しちゃうと、すいすい進められます。
 戦闘も、簡単でやりやすかったです。まだ、できることが少ないせいも、ありますが。
 Kayataのマスターは、ノリが良く、ぶっちゃけ系で、和気藹々な雰囲気で進められるから、とてもとても楽しかったです。さすがです。照れも、巧く溶け込ませていました。さらに、シナリオをコンパクトにまとめてくれました。素晴らしい。
 それにしても、マスターもいいけど、プレイヤーも楽しいなあ。
 こーなると、いろんなキャラクターを、作りたくなってきてしまいます。

 そして、翌日の日曜日に、Tikiを入れて、本番セッションが始まるのです。
 つづく。

ふたつの壊音 後編

2009年6月3日 水曜日
この記事の所要時間: 約 11分39秒

 TRPGプレイ日記です。
 セッション第4回目『ふたつの壊音』のつづきです。ふたつ目です。


ギルド『花鳥風月
キャッチフレーズ「我々は花鳥風月! お金に困っている!」

チキ ヴァーナ(狼族) 女性 【アコライト/シーフ】 レベル6
 プレイヤー:Tiki
 苦労性で、いつも金欠の少女。何故か不意打ちが得意。最近は、アコライトしてる。
 父親が、反神聖帝国軍の隊長。軍資金を調達するために、冒険者となる。宝石魔人ジュエリーザの弱点を知っている。
カヤタ ドゥアン(有角族) 男性 【ウォーリア/サムライ】 レベル6
 プレイヤー:Kayata
 楽天家で行動力のある、ムードメーカー。とても運がいい。肩に、彼にしか見えない鳥を乗せている。
”久遠の森”の、封印守護の一族。何者かに、崖の上から突き落とされたが、運が良かったので生きている。
タルト エルダナーン 男性 【メイジ/アコライト】 レベル6
 プレイヤー:Nyagon
 美少女にしか見えない謎の魔術師。とても金に飢えている。過去の記憶を失っている。
 魔術を使って、大暴れする夢を見る。過去の記憶が、ちょこっとだけ蘇ったもよう。
タケオン フィルボル 男性 【シーフ/サモナー】 レベル6
 プレイヤー:Takeon
 賢くて、マイペースで、ひとがいい。ダンジョンでの仕事はピカイチ。たまに、罠もかかってないのに爆発する。
 魔人になった父親を捜している。右手の甲に、魔族が近づくと痛むという入れ墨が施されている。
じじ ヴァーナ(猫族) 男性 【ウォーリア/ダンサー】 レベル6
 プレイヤー:Ganhiro
 ぷるぷる震える、ダンシングおじーちゃん。川上から流れてきた。


 ミドルフェイズの、つづきになります。
 宝石魔人ジュエリーザを追い払い、ロダニアの街に入った、”花鳥風月”の一行。
 チキは、ため息をつきながら、神殿に向かいます。
 魔王エラザンデルを封じた魔剣を2本抱えたまま、クラン=ベルから失踪してしまったので、連絡しとかないといけません。
 気が重そうです。
 神殿の奥に通されると、いつもの鏡がありました。
 砂嵐が消えると、パッと、ライン神殿の神官長、ランディアが映りました。
「……チキ。なんで、ロダニアなんだ? 例の剣は、2本とも、無事だろうな!?」
 いきなり、渋い顔をされます。
 チキが、クラン=ベルの邪教の神殿での顛末を話すと、ランディアは納得してくれた、というか、合点がいったように、頷きました。
「信じよう。で、最悪な話と、絶望的な話と、凄惨な話がある。どれから、聞く?」
 今度は、チキが渋い顔になりました。
 ランディアは、訥々と話します。
 ひとつ目は、クラン=ベルの神殿で封じていた魔杯リーアグナスが、妖魔に奪われてしまったこと。
 ふたつ目は、その犯人が、”闇の聖女”と呼ばれている妖魔であり、その仲間に、ハゲ頭のモンクと、ガンスリンガーの男がいたこと。
 そして最後は、手薄だったヴァイスの神殿が、妖魔軍団に強襲され、封じていた宝珠ブラック・ウディーレを、強奪されてしまったこと。
 この3日間で、いろんなことがあったみたいです。
 しかも、クラン=ベル襲撃事件の犯人は、チキが知ってるハゲである可能性が高そうです。
 ガンスリンガーも、金をせびりにきた、あの男に違いありません。
 ということは、”闇の聖女”は、あのアコライトです。
「お前の持つ、魔剣ふた振りの重要度が、増した。妖魔に奪われれば、人類は、……滅びる。しかし、聖都ディアスロンドは、この期に及んで、魔剣が届けられるのを、渋っている。なにかあったときの責任を、お前たちに押しつけたいのだろう」
「はあ」
 いつの間にか、”花鳥風月”の責任にされてます。
「待てよ。ロダニア、か……」
 魔剣の処遇で悩むランディアは、なにか思いついたみたいです。
「チキ。聞いたことはあるか? ルディオン山脈の南部に、久遠の森と呼ばれる場所がある。そこには、封印守護の一族が住んでいるという。彼らは、封印のプロフェッショナルだ。……私がいいたいことは、わかるな?」
 ブチッと、通信が切れました。
「……アコライト、、辞めようかな」
 そんなわけで、またしても、無理難題を押しつけられた、チキでした。

 打って変わってカヤタたちは、酒場で商人たちにおごられていました。
 大宴会です。
 猫耳おじーちゃんも、すっかり”花鳥風月”の一員になってました。
 そんな折、カヤタの肩を、誰かが叩きました。
 背が高く、痩せていて、さらさらの金髪の髪をなびかせた、美形のドゥアンです。何故か、目を見開いてます。
「お、おまっ!? カ、カヤタか!? お、おおおお前、生き……、いや、どこいってたんだ? し、心配したんだぜ!」
 カヤタは、冷や汗を垂らす彼に、見覚えがあります。
 封印守護の一族で、族長の息子、リグレです。
 いつもはよそよそしいのに、今日は、やたら馴れ馴れしくしてきます。ウザイくらいです。
 すると、チキが、くらーい顔をして、戻ってきました。
「……しゅーごーう」
 奥の個室に集合して、チキの話を訊きます。
 みんなで、渋い顔になりました。
「今度は、久遠の森? じゃあ、報酬は!?」タルトが、チキに噛みつきました。
 協議の結果、明日の朝、もう一度交渉することになりました。チキだけじゃなく、タルトも入れて。
 なんにせよ、久遠の森に、行くことになりました。
 カヤタの実家がある森です。封印守護の一族が住む森です。
 地図を見ると、ロダニアからだと、馬でも一ヶ月くらいかかりそうな距離です。かなり遠いです。遠いですよ、ランディアさん。ディアスロンドよりは近いけど。
「そうだ。あいつなら、なんか知ってるかも」
 カヤタは、リグレに話を訊きに行きます。
「ああ。それだったら、時空の洞窟を通ればいいさ。あっという間に、久遠の森の、すぐそばまで行ける。洞窟の入り口は、ロダニアから山に入って、3日くらいだぜ」
 リグレは、そう、教えてくれました。
 このとき、リグレの目が、あやしく輝くのを、カヤタ以外は感じました。
「じゃー、リグレ! よろしくな!」
 ファンブルを出したカヤタは、フレンドリーに、リグレの肩を叩きました。

 翌日、”花鳥風月”のみんなは、商人たちから表彰されます。魔人ジュエリーザを撃退し、ロダニア石を護ったことを、評価されたのです。
 報酬として、なんでも10%引きで買い物ができることになりました。
 でも、買い物は、あと。
 まずは、神殿へ赴きます。
「……な、なんだ?」鏡に映るランディアは、警戒しています。
「報酬、少なすぎると思うんですけどー」タルトが、さっそく口を尖らせます。「任務、放棄してもいいんですけどー」
 さんざんいい合った結果、報酬20000G。前金で、5000Gの契約を勝ち取りました。容赦ないです。
 資金ができたところで、買い物です。
 みなさん、何故かカバン類をいっぱい買い揃えていました。

 クライマックスフェイズです。
”花鳥風月”の一行は、ロダニアから、出発しました。リグレの案内で、山に入ります。
 なにごともなく、陽が暮れました。
 しかし、2日目の、夕刻。
 空があかね色に染まる頃、タケオンの手の甲の入れ墨が、ギリッと痛くなります。毒が回るかのように、じわじわと、痛みが増します。
 警戒していると、茂みの暗闇から、人影が出てきました。
「……ほう。さすがだな。気付いた。か」
 赤い木漏れ日の中に、男が足を踏み入れると、その姿があらわになります。黒く長い髪。褐色の肌。美麗な顔つき。銀に縁取られた漆黒の甲冑。そして背には、巨大な剣。
「見付からぬ、とでも、思ったか? それとも、コルンを倒した程度で、奢ったか。結界も張らず、持ち歩くとは、な。舐められたものだ」
 黒衣の美剣士は、端正な顔を歪めます。
「人間ども。我が主の力を封じた剣。……返してもらうぞ!」
 奥の影から、屈強な甲冑を着た髑髏顔の男が3人、飛び出してきます。ブラッディマーダーです。
 戦闘開始、です。
「ひっ!?」怯えたリグレは、カヤタの背中に隠れました。

 ズバアッ! と、黒衣の美剣士は、手を伸ばします。
 すると、魔剣カーディアックが、吸い寄せられるように引っ張られます。すごい吸引力です。ダイソンも真っ青です。
 チキは、慌てて魔剣をつかみます。カヤタも、一緒につかみます。
 チキとカヤタが攻撃に加われませんが、ブラッディマーダーは攻撃してきます。そのうち1体は、回り込んで、タルトに襲いかかります。
 絶体絶命のピンチ!
 と、思いきや。
 タケオンの召喚魔法がパワーアップしてたり、猫耳おじーちゃんが前衛で敵の攻撃を引き受けてくれたり、タルトの大砲が相変わらずだったり、チキは動けなくても《プロテクション》を飛ばせたりで、まったく危なげないです。
 2ターンの間、魔剣を護り切ると、黒衣の美剣士は、背中の大剣を抜きました。
「よかろう。ならば、殺すまで!」
 その刹那。
 黒衣の美剣士の前に、まばゆい霧のようなものが降り立ちます。
 ゆらめくそれは、女性の姿となり、立ちふさがりました。
 イベントムービー的なシーンなので、KayataがAボタン連打しました。キュルルルルと、早送りです。
「キ、キサマは、サングリエル!? 何故ここに!?」黒衣の美剣士が、うろたえます。女性は無言。けれど、美剣士はな、にか思いついたのか、ニヤリと笑みを浮かべました。「……そうか。キサマが目を覚ましたということは、我が主の復活は、近い!」黒衣の美剣士が、消えました。まるで、楽しみにしていたアニメがもうすぐ始まるのを思い出したかのような、勢いです。幻影のような女性も、消えました。
 イベントムービー終了。
 取り残されたのは、ブラッディーマーダー。
 あっという間に、倒されました。
 レベル13のエネミーが、3体だったのに……。

 エンディングフェイスです。
 ブラッディーマーダーの死体から、アイテムをかっぱぎ終わると、さっきの女性が現れます。
 とても美しい女性です。半透明の、幻影です。
「私は、マグドゥーラの王女、サングリエル。フォモールの王エラザンデルを、封じる者」
 サングリアルは、魔杯リーアグナスの封印が解かれたことにより、目覚めたみたいです。
 さっきの黒衣の美剣士が、魔王エラザンデルの部下、コッホバールだということを、教えてくれました。
 エラザンデルの霊体を封じているのが、都市マグドゥーラ。魔杯は、マグドゥーラを、霊界から現世に呼び出すことができる、特別なアイテムのようです。まだその方法を、敵に知られてはいないようですが、解析は、時間の問題らしいです。
「……ならば、手段は、ひとつ」カカッ! と、サングリエルの目が光りました。「倒すのです! 今こそ、あの憎き魔王、エラザンデルを、ブッ殺すのです!」
 彼女は、300年前の無念を、晴らそうとしているみたいでした。
「コッホバールが持つのは、魔杯リーアグナスの他に、宝珠ブラック・ウディーレのみ。今なら、殺れます!」
 魔剣カーディアックは、エラザンデルの心臓。魔剣セレブリックは、知恵。ぶっちゃけると、HPとMPです。エラザンデルが蘇ったとしても、HPとMPが激減した状態で、戦えるというわけです。魔眼のふたつも封じているから、魔力も1/3。かなり有利に違いありません。
 とはいえ、それでも、魔王は魔王です。
 どーしようかと悩んでいる、”花鳥風月”のみんな。
 ここでサングリエルは、強硬手段に出ます。
 みんなの手に、光り輝くものが、現れました。じゅっ、と、手のひらに、焼き付きます。それは、光の呪印でした。
「その呪印があれば、陰の森にある、”刻の墓”って呼ばれてる遺跡から、マグドゥーラへ入ることができます。マグドゥーラは、かつて”宝石の都”と呼ばれた、とても美しい街です。是非、いらしてくださいネ! 魔剣カーディアックと、セレブリックは、持ってこないよーに!」
 サングリエルは、いうだけいって、霧のように、消えました。
「……その剣、捨ててっちゃおうか」タルトが、いいました。
「……そーしたいのは、やまやまだけど、さ」チキが、深い深いため息をつきました。

 リグレが、ひょっこりと顔を出しました。顔面蒼白です。
「カ、カヤタ? お前ら、なんなの!?」

 途中ですが、これにてシナリオ終了で、アフタープレイです。
 経験値は、ジュエリーザに挑み、魔剣を死守できたので、60点+フェイトくらい入ったと思います。なんとか、1レベル上がるくらいです。
 時間的にバルバロッサができなかったり、キャラクターの立ち回りの影響で、重要な位置づけにするつもりだったNPCが出せなかったり、宿屋襲撃事件とかなくなりましたが、おおむね、シナリオ通りに進みました。最後のボス戦での圧勝は、想定外でしたけども。つか、シナリオ通りじゃないですね。
 みなさま、お疲れ様でした。
 というわけで、セッション第4回が終了しました。
 全10回を予定しているので、もう中盤です。
 終盤に向けて、いろんな伏線を回収……。実は、伏線張ってるつもりなんです、これでも。いろいろと。後付けとか、無理なの多いですけど。
 そもそも、なんとなくで始めてしまったせいだと思うんですが、キャラクターの世界に対する位置づけが甘く、護るべき者がなく、NPCの存在感が弱いということが、はっきりしてまいりました。
 魔人はいいとして、魔王エラザンデル戦へのモチベーションが、カラッポです。
 もちろん、マスターの責任です。なんとかしないといけません。
 なんとかしたいと思います。
 少しずつ、ですけど。
 まずは、カヤタ。
 あと、次回は、ボス戦がすごいことになりそうです。
 いやでも、経験値稼ぎとアイテム収集だけの、ナイズル的なダンジョンシナリオ(時間制限と条件付きのフロアクリア型)もいいなあ、とか思い始めています。

 セッション第5回目につづく。

ふたつの壊音 前編

2009年6月2日 火曜日
この記事の所要時間: 約 6分57秒

 TRPGプレイ日記です。
 セッション第4回目は、Takeon邸で行いました。
 ベースは、あくまでも「シナリオ集1 ファーストプレイ」です。原型とどめていませんが。
 今回のシナリオのタイトルは、『ふたつの壊音』です。
 セッション時に、タイトルいうの忘れてました。プリプレイで、シナリオの概略いうの忘れてました。いわなくても、まったく問題ありませんでした。ヘコー。
 今回も、けっこー脳内補正加わってます。

 プリプレイで、今回から参加することになった、Ganhiroのキャラクターを作成しました。
 猫族の【ウォリアー/ダンサー】です。
 ぷるぷる震える、ダンシングおじーちゃんです。


ギルド『花鳥風月
キャッチフレーズ「我々は花鳥風月! お金に困っている!」

チキ ヴァーナ(狼族) 女性 【アコライト/シーフ】 レベル6
 プレイヤー:Tiki
 苦労性で、いつも金欠の少女。何故か不意打ちが得意。
 父親が、反神聖帝国軍の隊長。軍資金を調達するために、冒険者となる。宝石魔人ジュエリーザの弱点を知っている。
カヤタ ドゥアン(有角族) 男性 【ウォーリア/サムライ】 レベル6
 プレイヤー:Kayata
 楽天家で行動力のある、ムードメーカー。とても運がいい。肩に、彼にしか見えない鳥を乗せている。
”久遠の森”の、封印守護の一族。何者かに、崖の上から突き落とされたが、運が良かったので生きている。
タルト エルダナーン 男性 【メイジ/アコライト】 レベル6
 プレイヤー:Nyagon
 美少女にしか見えない謎の魔術師。とても金に飢えている。過去の記憶を失っている。
 魔術を使って、大暴れする夢を見る。過去の記憶が、ちょこっとだけ蘇ったもよう。
タケオン フィルボル 男性 【シーフ/サモナー】 レベル6
 プレイヤー:Takeon
 賢くて、マイペースで、ひとがいい。ダンジョンでの仕事はピカイチ。たまに、罠もかかってないのに爆発する。
 魔人になった父親を捜している。右手の甲に、魔族が近づくと痛むという入れ墨が施されている。
じじ ヴァーナ(猫族) 男性 【ウォーリア/ダンサー】 レベル6
 プレイヤー:Ganhiro
 ぷるぷる震える、ダンシングおじーちゃん。川上から流れてきた。


 オープニングフェイズ。
 欲望の女神マハディルグの悪意で、クラン=ベルから遠く離れた僻地、ルディオン山脈に飛ばされちゃった、”花鳥風月”の一行。
 しかしここは、カヤタの故郷に、近い土地です。”石の街”ロダニアまで、徒歩で3日くらいのところだとわかったので、歩いて行くことにします。
 次の日の早朝、野営をしていたタケオンが、水を汲みに小川へ行くと、茂みから、獅子が出てきました。
 やたら威厳のある風貌の獅子です。何故か、ぐるぐる喉を鳴らしてます。
 獅子は、硬直して動けないタケオンに、近づいてきて、そばに身を伏せました。
「タケパパには、世話になった」獅子は、フレンドリーに話し出します。魔人ツヨイーザが、陰の森にある遺跡、”刻の墓”へ向かってることとか、教えてくれます。
 ここで、起きてきたカヤタとチキとタルトが、タケオンと獅子の様子を、こっそり覗き見ます。
 とても珍しい、言葉を話す獅子を見て、彼らは襲いかからんばかりの勢いです。
「……も、もうひとつ、助言を与えよう」居心地悪そうに、獅子は話します。「それは、近々起こる厄災のことだ。……名誉を得るなら、財宝を失うだろう。森へと旅立つのなら、責任を問われるだろう。と、いうわけで、サラバ!」
 思わせぶりなことをいって、獅子のくせに脱兎のごとく、逃げ出しました。
 タケオンの指には、サモナーリング。獅子からの、プレゼントです。
 と、ここで、川上から悲鳴が。
「わひゃ?い!」
 なんと、段ボールに乗った、猫耳おじーちゃんが、流れてきたのです。慌てて救出するカヤタたち。
 おじーちゃんの名前は、じじ。
 還暦で、よぼよぼで、ぷるぷる震えていますが、剣を持っています。「まだまだ現役バリバリじゃわ?い」といってます。
 こんな山の中に放置するのもアレなんで、街まで連れて行くことにしました。

 ミドルフェイズです。
 やっと、ロダニアの街が見えてきました。街っていうか、国です。城壁に囲まれ、立派な城もあります。
 山を下り、街道に出ると、ロダニアから商隊が出てきました。大きな商隊です。護衛を引き連れて、なにやら仰々しいです。
 と、その時。
 タケオンの手の甲の入れ墨が、焼け付くように痛くなります。
 ズアッと、影に覆われ、突風とともに、影は消えます。なにか巨大なものが、頭上を通過したのです。
 それは、街道に、ドスン! と、着地しました。強烈な、地響き。
 10mはあろうかという、巨人が、登場しました。
 巨人は、キラキラと、太陽の光に、輝いています。赤、青、緑、翡翠色、様々な色が、陽炎のように、眩しく乱反射しています。全身が、宝石でできているかのようです。
「グオオォォーン!」巨人が、凄まじい咆哮をあげました。商隊の馬車を、襲い始めます。
 間違いありません。
 あの巨人は、宝石魔人ジュエリーザです。
 チキが追い求めていた、魔人です。
 こんなところで、遭遇です。
 商隊を護衛していた冒険者や、兵士が、ジュエリーザに蹴散らされ、踏み潰されてます。圧倒的です。
「でかっ! あ、あれは、ちょっと、勝てないなあ。……って、あれ?」
 カヤタが悩んでいる間に、チキが走り出してました。タケオンも、続きます。
「ま、負けんぞぉ?いっ!」何故か、おじーちゃんは、チキに駆けっこで対抗意識を持ち、走り出しました。
 こうなったら、仕方ありません、カヤタとタルトも、走り出します。
 ジュエリーザは、チキたちに気付くと、クワッ! と目を輝かします。口元から、虹色の竜巻が放たれました。それは、みんなが所持している、宝石やアクセサリーを、残らず吸い取りました。
 宝石魔人ジュエリーザは、貴金属が大好物なのです。
 竜巻がやむと、ジュエリーザは、目を、ぱちくりとさせました。後ずさりし、何故か怯えた声を出します。
 その視線は、足下にいる、タルトを捕らえているみたいです。
 ジュエリーザは、地面を蹴り、飛びます。背中から放出されたルビーとサファイヤが人型になり、逃げる魔人を守るように、立ちはだかります。
 宝石の、ゴーレムです。コランダムゴーレムです。レベル15のエネミーです。
 2体のゴーレムは、襲いかかってきます。
 ゴーレム特有の必殺技、ビームが2連続で射出されました。凄まじい威力のビームです。全体攻撃です。
 しかしながら、チキの《プロテクション》、タケオンの《サモン・アラクネ》が、強固に護ります。
 仲間の援護を得て、カヤタの斬撃、タルトの《ウォータースピア》、タケオンの召喚魔法が、ゴーレムを削ります。強敵を前にして、一歩も引けを取りません。
 チキなんか、《プロテクション》を使いまくってたので、自分の行動順がきたのに、もう行動終了した気になってました。
 前衛には、カヤタと並んで、猫耳おじーちゃんも、立っていました。
 おじーちゃんは、還暦ですが、戦士なのです。
 そして、ダンサーでもあります。
 ダンシングおじーちゃんです。
 避ける! 避ける!
「まだまだ、若いもんには負けんぞぉ?い!」
 ぷるぷる震える足どりで、巧みに回避します。
 いつ寿命がくるかわからないので、おじーちゃんは、スキルの出し惜しみはしません。《ダンシングヒーロー》を使って、ダンシングヒーローです。
 でも、3度目には、直撃を受けちゃいました。ボクッ! と、大出血。
「おじーちゃんに、なにをするっ!」
 タルトの大砲が飛び、カヤタがとどめを刺そうとしてギリギリで倒せなかったりしつつ、戦闘終了しました。
 すると、辺りから、熱烈な歓声と、割れんばかりの拍手が。
 宝石魔人ジュエリーザを追い払い、商隊を助けたことで、感謝されたのです。商隊の荷馬車に積んでいたのは、とてもとても高価なロダニア石。半分は、無事だったようです。
 ありがとう、ありがとうの声が、鳴り止みません。
「我々は花鳥風月! お金に困っている!」宝石を奪われたので、カヤタは遠慮なく、そう叫びました。
「報酬!」タルトの目が、キュピーン! と光りました。

 つづく。

イエローサブマリン

2009年6月1日 月曜日
この記事の所要時間: 約 4分24秒

 何故か急に、携帯にスパムメールが届くようになりました。
「auマイプレミアショップ」からメールが届いた後に、モリモリ受信しまくるようになり、トホホな状態です。今んとこ、ずべてyahoo.co.jpからのスパムです。
 PCのメールアドレスには、毎日数百件のペースで届くので、慣れているんですが、携帯に届くのは、生涯初です。初体験です。あまりにも未体験だったので、どうしていいかわからなくなっちゃうくらい、戸惑いました。
 スパムメールでも、受信料払わなくちゃいけないんでしょうか。メールアドレスを受信拒否リストに入れるには、EZWebに繋がなくちゃいけないんだけど、この通信料もこっち持ち?
 ふんがー!
 メアド変えるしかないんでしょうか。
 ふんがー!

 2009年5月30日に、「アリアンロッドRPG」キャンペーン第4回を、開催しました。
 Takeon邸に向かう前に、遅い昼飯を食べようと、嫁とふたりでぶらぶらしてたら、映画帰りのTakeon、Kayata、Ganhiro、友人Nとバッタリ遭遇。
 せっかくなので、合流し、スーパーで弁当買って、Takeon邸に入りました。
 最後にTikiが、お土産持ってやってきて、全員揃いました。
 そこらじゅう、お菓子だらけです。

 弁当を食べ終えると、「アリアンロッドRPG」セッション開始です。
 せっかくなので、今回から、Ganhiroにも参加してもらっちゃうことになりました。
 みんながレベルアップしている間に、キャラクターを作ります。
 本来なら、じっくり時間かけて、あーでもない、こーでもないと、悩みながらスキルを選ぶんですが、時間をかけるとセッションに間に合わない、ってことで、なんとダイス振ってクラスとスキルを決めちゃいました。
 そして完成しました。
 猫族の【ウォリアー/ダンサー】。
 こう書くと、なんだか萌えな雰囲気がしますが、さすがGanhiro。
 名前は、じじ。
 60歳のおじーちゃんです。
 還暦ダンサーの誕生です。
 ぷるぷる震えてます。

 段ボールに入った還暦の猫爺さんが、川上から流れてきたところから、キャンペーンスタート。
 あまりにもインパクトがありすぎて、用意していたオープニングがすっ飛びました。
 それにしても、あまりにも早急に作りすぎたし、スキルをダイス振って決めたせいで、なんかよくわからない感じになってしまい、非常に申し訳ないことになってしまいました。
 命中率上げて1ターン。
 回避率上げて1ターン。
 3ターン目でやっと攻撃。
 いくら還暦とはいえ、ちょっとこれはマズイです(涙)。次回までに、なんとかしたいと思います。

 前回、25時間もかかったことを踏まえて、今回のシナリオは、短くまとめました。
 戦闘も、2回だけです。
 とはいえ、ボス戦が2回です。
 序盤の方は楽に済むだろうけど、後半のはイベントがらみなので苦戦するだろうなー、と予測していたのに、またしてもハズレました。
 レベル13のエネミー3体が、あっさりご臨終。
 うーん。みんな強くなったなあ。

 この後、Kayataのマスターで「ソードワールド2.0」を遊びたかったんですけど、時間切れ。
 後ろ髪を引かれる思いで、終電に乗って帰りました。

 翌日は、新宿に集合。
 西口のイエローサブマリンを襲撃しました。
 Kayata、Tiki、Takeon、Nyagon、ハゲの5人です。
 今まで知らなかったんですが、店の奥に、中古の本とかゲームとか売ってたのを教えてもらい、鼻血出そうになりました。
「ローズ・トゥ・ロード」とか、「ファンタズム・アドベンチャー」とか、懐かしいゲームが置いてありました。「Dungeons & Dragons」の赤箱青箱もありました。昔遊んでた、「機動戦士ガンダム」のシミュレーションゲームが、すごい値段になってました。
 こうやって眺めてると、なんで捨てちゃったんだろうなーって、悔やんじゃいます。

 Tikiは、ダイスのセットと、d20システムの「クトゥルフ神話TRPG」を、買ってました。とてもぶ暑いルールブックです。
 Kayataは、「クトゥルフ神話TRPG」のサプリメントを買いました。
 Takeonは、「ソード・ワールド2.0」のルールブックと、リプレイ本を買い込んでました。
 Nyagonも、新しい6面体ダイスを買いました。
 で、この流れなら買える! と思い、「アリアンロッドRPG エネミーガイド」を買っちゃいました。あと、「ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち」の2巻と、「ソード・ワールド2.0リプレイ たのだん」の1巻を買いました。あと、魔法陣が描かれているカッコイイ6面ダイスを2個買いました。
 ほくほくです。
 ほくほくのまま、刀削麺のXI’ANへ行きました。辛くて美味しい中華のお店です。鳥と唐辛子の炒め物を頼んだら、8割が唐辛子でヤバかったです。
 この後、ヨドバシカメラホビー館で、Takeonが「MGグフVer.2.0」を買ったり、Tikiがここでは書けないようなものを買ったりしつつ、雨の中を帰りました。

 来週こそ、Kayataの「ソードワールド2.0」です。
 プレイヤーができる!
 とてもとても、楽しみです。

リプレイ

2009年5月29日 金曜日
この記事の所要時間: 約 2分36秒

 最近は、電車の中で、TRPGのリプレイ本を読んでいます。
「アリアンロッド・リプレイ」全3巻を読み終わったので(番外編の「?EX」は、なかなか売ってないので読んでません)、「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」に手を出しました。全4巻(あと、番外編が1冊)です。
 これが、すごかった。
 もう、なんていうか、すごすぎました。
 前作の「?リプレイ」も、最後の方はブルブルきちゃってたんですが、「?ルージュ」は桁違いでした。
 コレ、本当にリプレイ!? 本物? みんな本物なの!?
 ってくらい、迫真の演技。
 舞台でやったら、お金取れるレベル。いや、ワールドツアーに出るレベル。
 とにかく、3巻4巻の、キャラクター、演出は、号泣ものでした。
 リプレイ読んで涙を流す、って、なんか違うような気がするんですけど、ここ数年で、一番感動しました。


 ただ、まあ、3巻のアレは、ガックリくるひととか、ムカッ! とするひともいると思います。
 ガチンコ勝負で、マスターのダイス目、鬼です。
 出しちゃ行けないとこで、クリティカルを出しすぎです。
 対抗できちゃう(いろいろな意味で)プレイヤーも、すごいんですが。

「アリアンロッドRPG」のリプレイは、他にも「サガ」とか「ハートフル」があるんですけど、未読です。
 で、「ソード・ワールド2.0」のルールブックを買ったので、プレイ方法を学ぶためにも、そっちのリプレイを読んでみたくなりました。
 なにごとも、勉強です。
「ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち」を、購入しました。
 他にも、「ソード・ワールド2.0リプレイ たのだん」という、薄くて読みやすそうな本もあったのですが、最初はキチッとしたリプレイの方がいいな、と思ったのです。


 このリプレイを読んで、「アリアンロッドRPG」と、「ソード・ワールド2.0」の違いを、はっきりと理解しました。
 もう、ぜんぜん別ものです。
 ルールが違うとか、そーゆー話じゃありません。
 コンセプトが、まるで違います。
「アリアンロッドRPG」は、勇者のRPG。秘められた謎を追い、世界の驚異と戦う、勇者の物語。
「ソード・ワールド2.0」は、冒険のRPG。どこにでもいる、ふつーの冒険者が、様々な冒険を繰り返し、少しずつ強くなってゆく物語。
 こんなに違うとは、思いませんでした。
 どっちも、大好きです!

 リプレイとしての違いも、ありました。
「アリアンロッドRPG」のリプレイは、マスターもプレイヤーも、名前を出してて、誰なのかよくわかるので(声優とか)、TRPGとしてのリアリティがあります。プレイヤーやマスターのアクが強すぎる、ってのは、ありますが。
「ソード・ワールド2.0」のリプレイは、プレイヤーAとかなので、本当にリプレイなのか、わかんないとこがあります。「?たのだん」は違いますけど、TRPGのリアリティという点では、ちょっと違和感を覚えました。
 まあ、趣味の問題ですね、これは。

 しばらくは、「ソード・ワールド2.0」のリプレイに、浸ってみようと思います。

ダイス運

2009年5月27日 水曜日
この記事の所要時間: 約 5分6秒

「ソード・ワールド2.0」にまで、手を出してしまいました。
「ソード・ワールド」といえば、15年前に、けっこーやりまくってたTRPGです。いろいろと、思い出深いゲームです。
 そのバージョンアップ版が、なんと、去年から、リリースされ始めまてました。
 もっと前から売ってるのかと思ってたんですが、去年発売されたばかりの、最新TRPGです。
 実は、こっちと、「アリアンロッドRPG」の、どっちをやろうか、って悩んでました。実際、お店で手にとって悩んでたくらいです。文庫版1冊と3冊を比べて、1冊の方を選びました。

「ソード・ワールド2.0」は、ルールブックが、3冊出ています。
 1冊目は、基本ルールブックで、1レベルから5レベルまでをサポートしています。
 2冊目は、拡張ルールブックで、6レベルから10レベルまでをサポートしています。種族が2種類追加され、技能も2種類追加されます。
 3冊目は、拡張ルールブックで、11レベルから15レベルまでをサポートしています。技能が1つ追加されます。
 1冊目だけだと、アイテムやモンスターが少ないです。最初から遊ぶ場合でも、2冊目はあった方がいいと思いました。3冊目は、まだ買ってません。


 さすが老舗のTRPG。骨太です。
 骨太すぎる「Dungeons & Doragons」に比べれば、ぜんぜんやさしいんですけど、「アリアンロッドRPG」に比べると、いろいろとシビアです。
 もちろん、今風のアレンジが加わってて、遊びやすくなっているんですが、「ソード・ワールド」らしさは失われていません。
 6面ダイス2つだけで遊べるというのは、昔からです。
 チャート表を見てダメージを判定するのも、変わりありません。
 能力値をダイスで求めるのキャラクター作成方法だって、当然そのままです。
 ダイス……。
 そう。
 ダイスを振って、能力値を求める。
 これって、オールドTRPG者にとっては、当たり前のことでした。むしろ、ダイスを振らないと、我慢できないくらいです。キャラクター作成、といったら、ダイスを振ることなのです。
 で、ダイス運、って、あるじゃないですか。
 ダイス運、って、あるんですよ。
 ダイス、つまりサイコロを振って、いい目が出るか、出ないか、っていう、運。
 いやまあ、確率的にいって、6面体のサイコロの出目は、すべて1/6なのは間違いないんです。そーじゃないと、そのサイコロはインチキだ、ってことになります。もしくは、不良品です。
 でも、あるんです。ダイス運。
 それは、命の力。
 魂の力。
 宿運を超えた、超気力。
 そんなものが、人類には、備わってるわけです。
 ダイス運がすごいひとは、とにかくすごくて、ここぞ! ってときに、6ゾロを出してくれちゃいます。しかも、連続で6ゾロを出しちゃうことだって、あります。ヘタすると、3連続で出しやがります。
 サイコロを、ぎゅぎゅぎゅーっ! と握りしめ、歯を食いしばり、額に血管を浮かべ、鬼の形相で、振るのです。
 そのオーラは、アカシックレコードに記された文言をも、変えてしまうほどです。
 宇宙の神秘です。
 とはいえ、6面ダイスの出目が、1/6なのは間違いないのです。
 2つ振ったら、6ゾロが出る確率は、1/36です。
 実は、いくらダイス運のいいひとでも、この確率は、みんなと等しく、同じなのです。
 つまり、こういうことです。
 ここぞ! って時に、6ゾロを出すけど、ほかの場面では1ゾロを出したり、どーでもいいところで、どーでもいい目を出すのです。
 偏っているのです。
 とにかく、偏りまくっているのです。いい方向に、とても偏っているのです。
 で、なにがいいたいのか、っていうとですね。もうとっくに予想できているでしょうけど、その通りなんですよ。
 いるんですよ。
 ダイス運の、悪いやつ。
 Kayataが、「ソード・ワールド2.0」のマスターをしてくれる、っていうので、喜び勇んでダイスを振ったんですよ。やっぱキャラクター作成は、ダイス振らなくちゃな。そう思いながら。
 そしたらあなた、酷い酷い。
 ダイスを2つ振って、11が出たんですよ。筋力で。戦士になるつもりだったから、こりゃいいぞ! と思ったんです。
 それなのに、次の生命力で、まさかのピンゾロ。
 人類最弱の生命力の持ち主になっちゃいました。
 2回チャレンジして、どっちか選ぶ、っていうレギュレーションだったので、もう1回、振ってみました。
 そしたら、筋力で、2と1が出ちゃいました。つまり、3です。
 戦士になんない。
 他の能力値も、揃って低調。平均値に達してません。
 これだったら、虚弱戦士の方がマシです。
 しかも、生まれ表を決めるとこで、選べばいいのに、ゲーマーの血が騒いだおかげで、ダイスを振っちゃいました。
 6ゾロが出ました。
 まさかの、フェアリーテイマー。
 つまり精霊使い。
 戦士最大のメリットである金属鎧を着ると、魔法が出にくくなっちゃいます。
 すんごい微妙な戦士ができあがりました。役に立たないかも知れない。
 どんだけー。
 さらに、ルールブックを買ったので、家でもキャラクターを作ってみたんですよ。
 ウサギさんの、フェアリーテイマーです。
 3回、振り直しました。
 振り直し回数的には、限界の回数です。
 それなのに。
 ルールブックに載ってる、サンプルキャラクターに、及びませんでした。
 知力だけ同じ値で、他は全部下でした。
 つまり、3回振り直しても、すべからく、平均以下。
 どんだけー。
 もう、確率なんて信じらんないッ!

 ちなみに、この時、嫁にもキャラクターを作ってもらいました。ドワーフ娘のロリっコ戦士です。
 試しに、フェアリーテイマーのウサギと、戦闘してみました。
 ガツン! と、殴られたので、お返しに、魔法をお見舞いしてやりました。
《ファイアボルト》です。
 渾身の、一撃ッ! ダイスを2つ振って、なかなかいい目が出ました! キタキター! よっしゃー!

 ドワーフに炎の魔法は効果ナシでした。

 やさぐれました。

さらば! 猛き男、ストーンコールド! 後編

2009年5月26日 火曜日
この記事の所要時間: 約 10分56秒

「アリアンロッドRPG」プレイ日記です。
 セッション第3回目『さらば! 猛き男、ストーンコールド!』の続きです。
 今更ですが、うろ覚えなので、詳細間違ってるかも知れません。あと、巧くマスタリングできなかったとこを、けっこー補完してます(涙)。


ギルド『花鳥風月
キャッチフレーズ「我々は花鳥風月! お金に困っている!」

チキ ヴァーナ(狼族) 女性 【アコライト/シーフ】 レベル4
 プレイヤー:Tiki
 苦労性で、いつも金欠の少女。何故か不意打ちが得意。
 父親が、反神聖帝国軍の隊長。軍資金を調達するために、冒険者となる。宝石魔人ジュエリーザの弱点を知っている。
カヤタ ドゥアン(有角族) 男性 【ウォーリア/サムライ】 レベル4
 プレイヤー:Kayata
 楽天家で行動力のある、ムードメーカー。とても運がいい。肩に、彼にしか見えない鳥を乗せている。
”久遠の森”の、封印守護の一族。何者かに、崖の上から突き落とされたが、運が良かったので生きている。
タルト エルダナーン 男性 【メイジ/アコライト】 レベル4
 プレイヤー:Nyagon
 美少女にしか見えない謎の魔術師。とても金に飢えている。過去の記憶を失っている。
 魔術を使って、大暴れする夢を見る。過去の記憶が、ちょこっとだけ蘇ったもよう。
タケオン フィルボル 男性 【シーフ/サモナー】 レベル4
 プレイヤー:Takeon
 賢くて、マイペースで、ひとがいい。ダンジョンでの仕事はピカイチ。たまに、罠もかかってないのに爆発する。
 魔人になった父親を捜している。右手の甲に、魔族が近づくと痛むという入れ墨が施されている。
ストーンコールド ドゥアン(牙爪族) 男性 【ウォーリア/モンク】 レベル3
 プレイヤー:NPC
 ハゲ。貴族の生まれで、偉そう。マイペース。まるで役に立たない。


 後半の、オープニングフェイズ。
 コルンの襲撃があった翌日、”水の街”クラン=ベルの神殿に、”花鳥風月”のメンバーは、集まっていました。
 会議室で、各地の神官長が顔を揃え(鏡を使ったテレビ電話的なもので)、神官長会議が始まりました。
 議題は、チキが持つ魔剣ふた振りを、どうするか。
 フォモールの魔王エラザンデルの力を封じている、重要な剣です。
 魔剣ふた振りは、今まで、敵の手に渡っていましたが、こちらにきました。これで、魔王エラザンデルの力を封じている5つのアイテムと、ひとつの魔杯は、すべて神殿の管理下に置かれました。
 喧々囂々と意見が飛び交います。いっそのこと、魔王の肉体を蘇らせて滅ぼしてしまえばいい、なんて物騒なことをいう神官長までいます。
 しかし、結論は出ませんでした。
「しばらく、自由にしていてください」疲れ切った顔で、ウェルチがいいます。「ただし、魔剣は、あなたがたが責任を持って、預かっていてください。この神殿には魔杯が封じられているので、魔剣を預かることはできないのです。あしからず」
 無責任な話です。
 でも、チキに、新品のアコライトセットが贈られました。わりと優れものです。神殿からの、せめてものたむけです。
「じゃあ、バザーに行こう!」タルトが、目を輝かしました。
 前日、暗殺者のコルンの身ぐるみをかっぱいだお蔭で、お金になるものができました。我慢して買わなかったものも、買えるかも知れません。
 と、神殿を出た時。
 ボカン!
 先に出ていたストーンコールドが、何者かに殴られ、そのまま、さらっと、拉致されました。
 あっという間の、できごとです。
 なんてこった! いったい、誰が? なんのために!?
「よーし! バザーに行って、聞き込みしよう!」タルトが、そういいました。
 みんなで、バザーに行きました。
 これも、ストーンコールドの、人徳です。

 ミドルフェイズです。
 バザーで得られたものは、アイテムだけでした。
 ストーンコールドの安否を心配してるのは、カヤタだけでした。
 そこへ、猫耳メイド服の女の子が現れました。なんか涙目です。
「も、申し訳ありません! ボンを! ボンを捜すのを、手伝ってください! お願いです!」
 彼女の名前は、ニャーコ。
 実は、ストーンコールドは、商人から成り上がった貴族で超お金持ちであるマクマホン家の長男だったのです。いいとこのボンボンだったのです。ニャーコは、マクマホン家に使えるメイドニンジャだったのです。
 ニャーコにとって、ストーンコールドなんて、どーでもいい存在なんですが、家長には大恩があるので、放っておくわけにはいきません。”花鳥風月”のみなさんが、買い物ばっかしてるので、やっぱり捜してくれないのかなーと思って、出てきちゃったのです。
 そんなわけで、ニャーコとともに、街を捜し回り、聞き込みを開始します。

 タケオンが、ひとりで情報収集しに行こうとしてたら、ストーンコールドを襲ったのと同じっぽい暴漢に、襲われました。
 カヤタたちが助けに入り、なんとか撃退するも、暴漢に逃げられてしまいます。
 すると、チキの父の部下であるパーシリと、アコライトのレネが、暴漢を捕まえてくれました。
「あれ? お嬢ちゃん、こんなとこで、なにやってんすか?」
「……そっちこそ」
 パーシリと情報交換して、だいたいの状況が、判明します。
 ストーンコールをを拉致したのは、欲望の女神マハディルグの、信徒です。どうやら、”遺跡の街”ラインの件で、恨みを買ったみたいです。
 パーシリとレネは、神殿で仕事を依頼されて、邪教の神殿を、探していたところでした。
 利害が一致したので、パーシリとレネは、合流します。
 下水道を進むと、ストーンコールドのハチマキが、落ちていました。
 邪教の神殿の入り口は、ここです。
”花鳥風月”と、パーシリとレネとニャーコは、突撃します。

 こっから、邪教の神殿です。
 欲望の女神マハディルグの神殿に仕掛けられた罠は、”欲望の罠”です。
 隠されてたり、罠に囲まれた宝箱の中には、たくさんの財宝が入ってます。
 この財宝は、幻影です。
 欲望に駆られ、財宝を持って行くと、フェイトが1点減ってしまい、フェイトが0になった時点で、邪悪化(NPCになる)してしまいます。
 途中でみんなに気付かれましたが、【精神判定】に成功しない限り、持って行きたくなります。
 我ながら、とても酷い罠だと思います。
 フヒヒ。
 でも、あんまし被害は大きくならなかったです。あれ?

 邪教の神殿には、多くの信徒がいます。
 だたの信者は、レベル4のモブですが、司祭は、レベル5のエネミーです。近接攻撃するやつと、遠距離攻撃するやつを、用意しました。
 けっこー数を出したのですが、”花鳥風月”のみんなは、強かったです。
 特に、タルトの《ウォータースピア》が、強烈でした。水属性のエネミーなのに、防御力以上の火力で、攻撃してきます。
 タケオンの《サモン・アラクネ》と、チキの《プロテクション》も、効いてます。NPCですが、レネの《プロテクション》なんて、レベル4なので、効果がハンパないです。
 盾になったカヤタのHPが、なかなか減りません。
 それほど苦戦することなく、”花鳥風月”は勝利しました。

 タケオンの活躍で、数々の罠をかいくぐりました。鍵が用意してあるから、難易度を21(普通14くらい)に設定してたのに、鍵開けスキルで開けられたりとかしました。
 それにしても、2階層で、計18フロア。しかも、全フロアに、罠かエネミーを設置してるなんて、このマスター、頭おかしいんじゃないかと思います。
 いくつかのイベントを得て、”花鳥風月”の一行は、巨大な両開きの扉の前に、到着します。
 部屋は、水深1mくらいの、プールになっていました。
 両開きの扉には、4X4の、数値魔方陣。縦横斜めの合計値が、同じになる、ってやつです。真ん中の4マスは、空欄になってます。数値を埋めないと、扉が開かない仕掛けです。
 ここで苦戦するかと思いきや、さすがゲーマー。カヤタとチキが、ものすごい速さで計算して、回答を出しました。タルトも、独自に回答を出してました。
 両開きの扉が開くと、その向こうは、だだっ広い祭壇の間になってました。

 クライマックスフェイズです。
 祭壇の前には、魔法陣。とっ捕まったストーンコールドが、拘束され、沈められようとしています。急がないと、おぼれ死にます。
 祭壇の奥には、欲望の女神マハディルグの、巨大な立像。目が、赤く輝いています。
 敵は、レベル9の神官と、レベル5の司祭が8人です。
 足下は、水深1mの、プール。
 この組み合わせは、想像以上に、最悪でした。
 何故なら、敵は邪神の加護があり、水のペナルティを受けません。PCだけが、ペナルティを受けるのです。
 多すぎるエネミーと、厳しすぎるペナルティで、”花鳥風月”のみんなは、苦戦します。
 まさに、泥沼の戦いでした。

 ストーンコールドを助けようと、カヤタとニャーコは前に出ます。
 カヤタは、周りの仲間を《カバーリング》。援護は、チキとタルトの《プロテクション》と、タケオンの《サモン・アラクネ》。レネの《プロテクション》も、飛んできます。
 主砲は、タルトの《ウォータースピア》。けれど、1発じゃ、誰も倒れません。タケオンの《サモン・カトブレパス》も、致命傷を与えられません。
 カヤタは、仲間を庇いながら、拘束されたストーンコールドを、水の中から引っ張り出そうとします。
 けれど、まさかの連続ファンブル。
 こりゃもう死ぬ。死んじゃう。さらば、ストーンコールド!
 って時に、カヤタが、素晴らしいアイディアを出します。
「口移しで、ストーンコールドに酸素供給だ!」
 行動順的に、犠牲者となるは、NPCのパーシリでした。
「ええい、くそっ! やりゃあいいんだろ、やりゃあ!」パーシリは、叫びました。
 男どうしの、ぶちゅー。
 歴史に残るワンシーンです。
 その後、なんとかストーンコールドは助け出されました。涙目のパーシリが、肩に担いで、離脱します。

 一方その頃、チキは部屋を回り込んで、祭壇に立つ神官のもとへ、辿り着きました。祭壇の上だったら、プールのペナルティは受けません。
 アコライトとアコライトの、睨み合い。
 聖なる神殿と、邪なる神殿の、対決。
 リーダーどうしの、一騎撃ちです
「グハハハハ! マハディルグ様の加護を受けたわたしに、勝てると思ったかぁ!」
 ブチブチブチィ! と、神官服が破れます。敵の神官は、実はものすっごい筋肉マッチョでした。
 具体的にいうと、邪神の加護で、《豪腕》を持ってます。
 チキは、強烈な一撃を受けて、ふらふらになりました。ここは、引くしかありません。

 戦闘は長引き、みんなのMPが底をつきます。MPポーションも、なくなってきました。
 毎ターン《カバーリング》を続けてきたカヤタのMPも、残りわずか。
 しかし、まだ敵の神官は残ってます。司祭も、残ってます。
 絶体絶命です。
 ってとこで、カヤタが、わざとらしく立っていた邪神像に、目を止めます。
「……あー。あれ、か」
 カヤタの指示で、タルトの最後の《ウォータースピア》が、邪神像を貫きます。
 欲望の女神マハディルグの立像が、ゴワラグシャーン! と、崩れ落ちました。
 その瞬間、信者たちは、加護を失います。
「ギャース!」
 水深1mのプールも、なくなりました。
 こーなったら、神官だって、ただのひと。カヤタの全力全開アタックで、筋肉を失った神官は、お亡くなりになりました。
 最後に残っていた司祭も倒して、戦闘に勝利。
 ギリッギリにもほどがある長期戦が、終わりを告げました。
 カヤタは、崩れ落ちた邪神像を、げしげし砕いてました。

 エンディングフェイズ。
 拉致され、生け贄に捧げられようとしていたストーンコールドを救出し、邪教の神殿を守っていた信者どもを、倒しました。
 一件落着。
 と、思いきや。
 崩れてボコボコになった邪神マハディルグ像の目が、カカッと輝きます。
『ありのままの欲望に、溺れぬ者よ。二度までも、我を冒涜せし者よ。……キサマら、決して、許さないわよう! あっちいっちゃえーばかー!!』おぞましい女性の声が、頭が割れんばかりに、響き渡ります。
 その刹那、”花鳥風月”のみんなは、赤い光に包まれました。
 一瞬、離れたところにいたレネが、ニヤリと笑ったのが見えました。
 ばっひょーん!
 気付くと、カヤタと、チキと、タルトと、タケオンは、山の中にいました。
 ストーンコールドが、いません。さらば、ストーンコールド、です。実に、しょーもない。
 そこは、ルディオン山脈。
 カヤタが、かつで住んでいた場所に、近いところです。

 ここで、シナリオ終了です。
 アフタープレイになります。
 経験値は、戦闘が、やたらめったら多かったので、60点+フェイトくらい入ったと思います。
 前半の経験値を含めると、一度に2レベル上がっちゃいます。
 でも、そんくらいの経験は積んでます。むしろ、少ないくらいです。
 だって、25時間だもの。
 本当に、お疲れ様でした。

 つづく。