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血とか肉とかすごい

2008年1月21日 月曜日
この記事の所要時間: 約 4分30秒

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」を観てきました。立川のCINEMA TWOで。
 ティム・バートン監督とジョニー・デップのコンビでお送りする、ティム・バートンのティム・バートンらしいティム・バートン映画であり、ジョニー・デップなしではありえない、なにからなにまでティム・バートンな床屋映画です。
 さて。
 実はワタクシ、ティム・バートン監督が苦手であります。
 ティム・バートンはユニークで素晴らしい天才肌の監督だと認めていますが、ぶっちゃけ苦手なんです。
「マーズ・アタック!」は当然のこと、「ビッグ・フィッシュ」と「スリーピー・ホロウ」では途中で爆睡。ちゃんと観た「PLANET OF THE APES 猿の惑星」は残念映画だったし、「バットマン」シリーズはもう記憶にないし、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は好きですけどティム・バートンは監督じゃなくて原作と製作だけです。「チャーリーとチョコレート工場」はレンタルDVDを借りてきたのに観ないで返したし、「シザーハンズ」に至ってはレンタル屋で手に取ったことすらありません。
 単純に、好みの問題です。
 どっちかっていうと、ティム・バートンよりもサム・ライミ派なんです。発想はどちらも猟奇的でイカレてますが、”妙な雰囲気”よりも”妙な動き”が好きなんです。
 ちなみに、ミュージカルに関しては、嫌悪感を通り越して憎しみすら抱いてます。
「なんでいちいち歌うんじゃボケェェェェ!」「ちゃんとリアルにセリフ吐かんかぁぁぁぁ!」「歌ったって楽しくないんじゃぁぁぁッ!」なんて、大人げないようなことを思ってしまいます。額に血管を浮かべながら。
 ティム・バートンと、ミュージカル。
 どう考えても、観ない方がよさそうです。
 完全に好みに反しています。苦手+苦手の映画です。確実に寝るかキレるか、どちらかだと予想されます。
 でも、なんか惹かれるものがありました。
 放っておけないなにかがありました。
 ティム・バートンのティム・バートンらしいティム・バートンなミュージカル映画。それに、「フリート街の悪魔の理髪師」というブリティッシュ・ホラーの原作。そして、ジョニー・デップ。
「スリーピー・ホロウ」よりも、遙かにティム・バートンっぽいイカレた雰囲気が匂ってきます。
 だって床屋です。床屋の殺人鬼なんて、そんなにたくさんいないです。
 ジョニー・デップは、好きな役者です。ジョニー・デップの映画は観ておきたい。
 うーん。
 やっぱり観ておこう。
 内心悩みましたが、少なくとも、「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」よかマシだろう、と結論づけました。意外な援護射撃です。
 前置きが異様に長くて恐縮ですが、こんな事情のもと、観に行ったのです。

 はい。
 観に行ってよかったです。
 今年度サイコーの映画でした!
 いきなり若造が歌い出したときには思いっきり引いたんですけど、ジョニー・デップが歌うとすぐに映像に吸い込まれました。ものっそい吸引力です。ずびずば吸い込まれます。
 これはすごい。
 こんなイカレたミュージカルなら、観れる。
 これぞティム・バートン! これそジョニー・デップ!
 そんな映画でした。
 陰鬱な19世紀のロンドン。幽霊のようなキャラクター。復讐に取り憑かれた復讐鬼。ありえない肉の利用方法。先走る妄想。残酷な真実。こっけいな狂気。コメディなホラー。ティム・バートンだからこそ表現できるユニークな演出。
 R-15指定だけあって、血とか肉とかすごいですが、この映画には必要不可欠なので仕方がありません。
 卓越した映像センスによる異質な雰囲気に酔いしれる映画です。いきなり歌い出されても、実に自然です。歌ってない方が不自然なくらいです。
 いやあ、とてもよい映画でした。やっぱ映画はこうじゃなくっちゃ。
 サウンドトラックが欲しくなりました。でもジョニー・デップの歌声は入っているんでしょうか。全部入ってたら、もうほとんど映画そのものになりそう。
 面白かったです。
 この映画を観終わったあとは、みんなでミートパイを食べよう!

 ジョニー・デップの歌がヘタだという意見もありますが、ワタクシは声も表情もサイコーだと思います。彼はもともとミュージシャンですしね。
 そういえば、パイ屋の女主人役のヘレナ・ボナム=カーターが、さすがティム・バートンの伴侶だけあり、どこからどう見ても”ティム・バートンのホラー作品顔”で素晴らしく好ましかったんですけど、ずーっと大竹しのぶに似てるなー、なんて思ってたら、2007年2月に宮本亜門の演出で大竹しのぶ主演の舞台をやってたみたいです。「スウィーニー・トッド」をです。うわーびっくりした。なんかすげーシンクロニシティ。
 あと、判事役のアラン・リックマンが最初誰かわからず、便秘のような気分で観てたんですが、途中で”ハリー・ポッターの親父に苛められてた過去を持つネクラの暗黒先生”だとわかり、スッキリしました。
 ていうか、「ハリー・ポッター」シリーズに出演してる役者さんが3人も出てましたね。「ハリー・ポッター」の最終話とかティム・バートンが監督したら面白そう。
 あと、ジョアンナジョアンナ歌ってたアンソニー役のジェイミー・キャンベル・バウアーが、なんとなくマイケル・ジャクソンぽいサイボーグ顔なのが気になりました。鼻からビーム出そう。