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箕輪はるかの鼻水

2007年11月5日 月曜日
この記事の所要時間: 約 2分4秒

「クワイエットルームにようこそ」を観てまいりました。原作・脚本・監督は、松尾スズキ。主演は、内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、大竹しのぶ。あとお笑いコンビのハリセンボン。例によって塚本晋也と庵野秀明としりあがり寿も出てました。
 劇場は、立川のCINEMA CITYです。
 ものすごい行列ができてて、なにかと思ったら、「恋空」でした。今、求められている商品がどんなものなのかが、よくわかりました。
 さて、それはともかく。
「クワイエットルームにようこそ」は、とても面白かったです。
 松尾スズキ初監督作品の「恋の門」がとても面白くて気に入っていたので、長編二作目である今作も観に行ったんですけど、期待以上の作品でした。絶妙なバランス感覚。「クローズZERO」といい、邦画はまだまだ捨てたもんじゃないですよ。
 いきなり庵野監督が白衣着て出てきて血を吐いて倒れたときにはどーしようかと思いましたが。
「恋の門」とは違って、演劇的な雰囲気でした。主な場面が精神病院の限られた場所だけなところが。
 現実とはどこか異質な世界に凝縮される、ヘンテコな人間模様。コメディタッチだけど、深いとこまで潜り込んできます。
 上手く生きられない自分自信を振り返らないように見ないようにしてきたのに、外因的にも追いつめられて、おかしくなっていく。見失っていく。見えなくなっていく。閉じこめられて、突きつけられて、やっと気づく。そして、再生。以前とは、ちょっと違って見える現実。
 主人公の内田有紀が、とても良かったです。不潔で自堕落な役どころも、元が綺麗なので嫌悪感がありません。ゲロ吐いても、おぞましい蕁麻疹まみれになっても、目を逸らすことなく観ていられました。踵を鳴らせないドロシー。精神病院は、彼女にとって迷い込んだオズの国でした。
 大竹しのぶは強烈な上にリアリティがあってすんごかったんですが、ハリセンボン箕輪はるかの鼻水もすごかったです。ハリセンボン近藤春菜の方は、どこに出てたのかいまいち釈然としません。
 なんか平岩紙という娘がお気に入りになりました。劇団大人計画の団員で、紙という名前も松尾スズキが付けたみたいです。
 もう塚本晋也監督は役者で良いいと思います。同じように、松尾スズキも映画監督で良いと思います。宮藤官九郎なんて、妻夫木聡よりも巧く完璧に演じてました。
 つか、けっこー天はひとに二物も三物も与えてますよね。
 ゼロ物のひともいますが。
 泣きそう。

くどく幻惑的

2007年10月24日 水曜日
この記事の所要時間: 約 3分29秒

 やっと「姑獲鳥の夏」を観ました。「魍魎の筺」をやるみたいなんで、観ておこうと思い。
 実は、今まで観るのを避けてたのには、理由があります。
 キャスティングです。
 もちろん異論あるでしょうけど、個人的には
   中禅寺秋彦  = 役所広司
   関口巽    = 真田広之
   榎木津礼二郎 = 加賀丈史
   関口雪絵   = 小雪
 だったんです。
 木場修太郎だけがイマイチ決まらず、渥美清と北野武が合わさった感じでした。
 というわけで、堤真一? 永瀬正敏? 阿部寛? 宮迫博之? はぁ? なんて思ってました。
 こだわりです。執着です。
 でも、実はみんな好きな役者でした。
 というわけで、実はオールOKでした。実は雨上がり決死隊の宮迫って、自分の中では役者として評価高いです。
 さて。
 原作は当然既読というか新刊出たら必ず買うくらいなんですが、関口くんが壊れること以外、スッカリ忘れてました。
 いやあ。
 賛否両論ありましたが、原作を思い出させるほど、くどく幻惑的でした。これはこれでいいと思います。
 永瀬正敏はいい味だしてたと思います。惑わされ、墜ちていくのにふさわしい雰囲気を感じました。
 堤真一は、巧い役者だと思うんですけど、長台詞が多いせいか、やたら文節を区切って喋るのが気になりました。
 榎木津礼二郎と木場修太郎は、存在自体が微妙でした。キャラクターのトンデモ具合が低いというか。ハジけキャラだしハジけ役者なのにハジけてなかったです。しかしまあ、これからですね、彼らがハジけてダイカツヤクするのは。
 それにしても、実相寺昭雄監督。相変わらずの個性。この監督って、すごく若い。大御所なのに、とっても尖った魚眼な映像。昔からこうなんですけど、こーゆーことを個性としてずーっとやれちゃうのって、とても立派だと思います。江戸川乱歩とか京極夏彦の作品には、合うと思います。
 セットとかしょぼかったですが、それすらも個性。昭和の映像。
 もともとトリックは反則なのでミステリとしてはアレなんですが、謎解きシーンは登場人物の反応がナニでした。残念ながら、この映像の中では、松尾スズキは浮いてました。いしだあゆみも。
 面白かったです。
 つか、京極夏彦は出過ぎだと思います。

「悪夢探偵」を観ました。カルト邦画の第一人者、塚本晋也監督の新作です。続編も作ってるみたい。
 松田龍平が主演なのはいいんですけど、主役はなんとびっくり、アーチストのhitomiです。
 hitomiは、見た目はすごく綺麗でグッドです。顔芸も意外とイケてます。ビジュアル的には大合格だと思います。映像の中で栄えます。でも、喋るとダメです。とてもカツゼツが悪いし、感情が入ってません。顔芸とビジュアルが完璧なだけに、ギャップがとても激しいです。吹き替えが必要だと思いました。
 松田龍平は、もうどんどん良くなってますね。日本人の若手役者の中じゃあ、ダントツなんじゃないでしょうか。こーゆーひねくれた暗いダメな男を演じさせると、とってもいい具合です。
 内容的には、塚本晋也の代表作「鉄男」を彷彿させる感じでした。あれほどエロ・グロ・ナンセンスではないですが、敵役として塚本晋也監督本人が出てきて鼻血を垂らすというのは、懐かしいなーというか相変わらずだなー思いました。
 夢の中に入ることができるだけ・・の、悪夢探偵松田龍平。対するは、夢をリンクさせることで相手を自殺させることができる、塚本晋也監督。
 主人公を含め、自殺したい動機とかほとんど語られないので、ちょっと納得できないところがありました。自殺するのに明確な動機などないのだ、と思っていても、それを実際に作品として出されると、首を捻らずにはいられません。切迫感と説得力が足りてない気がしました。
 グロとカメラワークの激しさは、かなり不気味でホラー的(「死霊のはらわた」的)でしたが、どことなく軽さを感じるところは、塚本晋也の個性だと思います。
 面白かったです。
 ところで、続編にもhitomiは出演するんですかね?
 ああ、いやだいやだ。
 あ。これ↑は主人公のキメ台詞です。いいたかっただけです。気に入っちゃいました。