1981年6月、南カリフォルニア、レイクウッド。
日本では4月に初代タイガーマスクが衝撃的なデビューを飾ったその二ヵ月後に、その不思議な黒い生命体は姿を現した。
1981年といえば、そう。同じカリフォルニアのサンホセニシバル空港上空に赤く脈動する謎のUFOが出現して旅客機に急接近し、管制官たちを混乱させたという、誰もが知っている衝撃的な事件があった年だ。
その事件から、僅か3ヶ月……。
第一発見者は、ジョン・ルガとグレース・ルガ。この仲のよい老夫婦は、昼食後の散歩の途中に偶然、駐車場にいるその二体の生命体を発見した。
黒い。
それは、あまりにも黒かった。
シルクのような艶のある被毛。神秘的な瞳。長い尾。一見すると子猫に見える。
だが。
それは、猫とは違っていた。
一箇所だけ、猫とはいえない部分があったのだ。
老夫婦は、顔を見合わせ、唾を呑み込んだ。
目をこすり、何度も確認する。
それは。
その。
耳。
丸い頭部に乗るその耳が。
――反っていた。
耳の軟骨部分が、外向きにカールしていたのだった。
両耳とも。
二体とも。
愛らしい顔で、ごろりと転がる。愛嬌を振りまく。
しかし、老夫婦は確信した。
猫ではない。
猫ではない、なにか不思議な生物である。と。
猫――いや、猫にそっくりなその生命体は、老夫婦に何か感ずかれたことに気づいたのか、瞳孔を膨張させ、緊張した。
老夫婦は、ゆっくりと手を出した。
悪意はない。ただ、シルクのような被毛に触れてみたかっただけだ。
だがその老夫婦の行動に、二体の子猫のような黒い生命体は、恐怖を感じてしまった。
寝転んでいた身体を俊敏に起こすと、脱兎のごとく走り出す。
老夫婦は、悲鳴を上げた。
――危ない!
気づくのが遅かった。二体の生命体のうち、素早い方はもう車道に飛び出してしまっていた。
時速200Kmで爆走するジャガーに、黒いシルクが弾き飛ばされた。
愕然とする老夫婦。
わけもわからず、その場で硬直するもう一体の生命体。
車道に、シルクの身体が、ぽとりと落ちた。
もう動かない。
老夫婦は、愕然とする生き残った生命体に近づき、優しく抱き上げた。
震えていた。
小さな身体が、凍えるように震えていた。
この見知らぬ星で、孤独になった。
老夫婦は、決心した。
この子猫のような生命体を、護ってあげよう、と。
「シュラミス。あなたの名は、シュラミスよ」
老婆がそういった。
それは、”黒い美人”という意味であった。
その年の12月、シュラミスは4匹の子猫を生むことになる。
4匹のうちの2体は、シュラミスと同じように外向きにカールした耳を持っていた。
その珍しい子猫たちを基礎に研究され、50%の確立でカールする耳が遺伝するとわかり、1987年に新種の猫として公認された。
シュラミスが、この地球に居ついて24年。
シュラミスの遺伝子は、今も地球で増え続けている。
どきどきどき | くんくん |
むっ | どたんばたん |
むううう。新型か!?
自分の知ってるアレな神話には土星猫とか冥王猫とかいたな。
しかしなかなかにチャーミングなにゃんこだね。○○みても逃げない子だといいな(・ω・)
うむ。
新型の宇宙猫さ。
でも○ゲは逃げると思う。ヒ○はやっぱ宇宙でも怖いみたいだよ。うん。