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2007年05月 アーカイブ

2007年05月08日

Kの力

 僕が住むK市の南半分は、奴らに支配されていた。
 具体的にいうと、市の中央を東から西へ横断するJR中央線を境に、南部だけが奴らのものになっているのだ。市役所、警察署、品揃えのいいゲーム屋、それに加えて、美味しいカレーの店までもが、奴らの手に渡っている。
 残された北側に、僕は住んでいた。
 市の北側には、総合病院とか、広い公園とか、ラーメン屋通りとか、パチンコ屋がある。臨時の市役所は、駅前の大型スーパー、K’sマートの中に入れられた。
 中央線の線路の向こうは、厳重に封鎖されていた。
 物々しい自衛隊の仮設本部が設置され、装甲車とか、戦車とか、妙な特殊車両なんかが配備されている。奴らの侵攻を抑えるための軍備には、アメリカの介入もあった。甲殻歩兵という兵装がそうだ。通称”K兵”と呼ばれているそれは、真っ黒な防弾甲冑を着込んだ、装甲兵だ。動力が組み込まれていて、通常の人間の数倍の力を出すことができるらしい。
 奴らがK市の南半分を侵略してから、もう半年が経つ。
 こんな状況なのに、今のところ、生活は平穏だ。不思議に思えるくらい普通だ。中央線も走っている。市の北側にある学校だって、休みにはなっていない。
 それは、僕らのお蔭なのだ。

 僕はいつものように、遅刻ギリギリの時間に起床する。
 憂鬱な気分だった。目覚ましの音が、恨めしい。
 重いドアを開け、居間を覗くと、テレビがついていた。朝のニュースだ。K市の南の映像を流し、訳知り顔のコメンテイターや、なんとか評論家たちが、適当なことをほざいている。
 お父さんが、テレビを見ながら、「いい気なもんだよな」といった。台所のお母さんは、「いい気なもんよね」といった。彼らの顔は、どこか得意げだ。
 低血圧のお姉ちゃんは、テーブルに肘をついて、涎を流しながらぼけーっとテレビを眺めていた。もう大学生だというのに、だらしない。僕は苦笑して、ティッシュでお姉ちゃんの涎を拭いてあげた。 
 すると、お姉ちゃんは椅子ごと背後にひっくり返り、白目を剥き、泡を吹いて痙攣し始めた。
 お父さんとお母さんは、僕が居間に現れたことを知ると、バタバタと暴れ出し、揃って窓辺に張り付いた。
「おはよう」と、お母さんが震える声でいう。
「おはよう」と、僕はお姉ちゃんの酷い顔を見ながら答える。
 僕はため息を呑み込むと、脅えた両親を一瞥して、自分の部屋に戻ろうとした。
「早起きだな。お前、今日は学校じゃないんだぞ」と、お父さんが威厳を込めて、でも裏返った声で、そういった。
「もう行くよ」僕は背中を向けたまま、そう答えた。
 自分のスケジュールくらい、把握している。子どもじゃないんだ。僕は自分の部屋の重いドアを閉めると、高校の制服じゃなくて、普段着に着替え始める。黒いジーンズに、紺のパーカー。どうせあとで着替えるんだから、適当でいい。
 密閉マスクを装着する。口元にぴたっと張り付くタイプのマスクで、これをしないで外に出ると、大変なことになってしまう。
 嫌な世の中になったな、と思う。
 僕は、なにもいわずに家を出た。
 駅前は、出勤するサラリーマンや学生で、混雑していた。ホームから聞こえてくるアナウンスに耳を傾けると、今日も人身事故で遅れているみたいだ。
 みんなは今日も、普段とたいして変わらない毎日を送っている。奴らのせいで大きく変わったのは、僕の人生の方だ。
 遮断機の前に立つマスクを着けた警備兵に声をかけ、線路を渡る。自衛隊の仮設本部は、粗末なプレハブだった。JRの工事用の敷地の中に、でんと構えている。その先は、厚い壁。奴らの攻撃を防ぐその壁は、百ミリの鉄板だという話だ。
「おはようございます」
 やる気のない声でそういって、僕はプレハブの中に入った。
「グッモーニン。遅刻ギリギリだぞー」
 眠そうな顔で出迎えてくれたのは、カレラさんだ。彼女は、ハーフだ。肩まで伸ばした髪の色がブロンドで、コピー用紙みたいな白い肌をしているが、瞳の色は黒い。歳は僕の1コ上。高校は違うけど、中学までは一緒だった。
「あれ。カレラさんひとりっすか」
「うん。つか、克己くん、寝癖酷いぞ」
 彼女はいつも、苗字じゃなくて名前の方で僕を呼ぶので、なんだかくすぐったい。ソプラノの素敵な声で呼ばれると身悶えしちゃうくらいなんだけど、今はマスクを装着しているから、くぐもった声だ。
 僕はびよんと跳ねた髪を撫でながら、彼女のそばのパイプ椅子に座ると、なんの気なしに壁に並べられたモニタを眺める。いつ見ても、なにが表示されているかよくわからない。わかるのは、時間と気温くらいだ。
 部屋は狭いのに、マスクを着けた自衛隊のひとたちは、忙しげに働いている。緊張した顔で、動き回っている。キーボードを叩く音は、途絶えることがない。
 完全に、僕は浮いていた。ここは、普通の高校生男子が、普段着でいる場所ではない。キャミソールにミニスカートというカレラさんも、当然浮いている。ノーブラなのか、ぽっちも浮いている。
「カレラさん。なんか変化ありました?」僕は視線をさまよわせながら、そういった。
「変化なんかないわよ。暇。すっげ暇。夜はめったに攻撃してこないもん。つか、克己くんがうらやましいよ。今日って、特攻でしょ。楽しそー」
「……じゃあ代わってくださいよ」
「ノー。絶対にノー。わたしは、あんたみたいに強い”K”じゃないもん」カレラさんは、皮肉めいた笑みを浮かべる。「特攻するなら、あなたくらい強くなくちゃ」
「カレラさんだって、強いっすよ。選ばれたんだし」僕は、むっとした。「夜番ひとりで任されてるのだって、認められてるからっすよ」
「あーらご謙遜。世界を背負うほどの”K”にそういわれると、嬉しいわー」
「僕は、そんなに強くない」
「なによ、世界最強の”K”のくせに。”K”の強さって、本人はなかなか気づかないのよねー」
「カレラさんだって、そうだったんでしょ。最後まで否定してた」
「うるさいわね。あんたは前から有名だったわよ」カレラさんの顔が、けわしくなった。
「カレラさんこそ」僕はわざとらしく肩をすくめて、哀れるような目で彼女を見た。「有名でしたよ」
「な、なによー、その目。年下のくせにー」
 カレラさんは、攻撃を始めた。何故かわからないけど、彼女は怒るとやたらとひとの服を脱がそうとする。
「やめてくださいよ。エッチ」僕は椅子を盾にして、逃げ回る。「そんなんだから、彼氏ができないんすよ」
「あんたにいわれたくない」カレラさんは、胸を揺らしながら椅子を蹴り倒す。「あんただって、フラれてばっかじゃん。知ってんだかんね」
「う、うるさい。僕だって、”K”がなかったら」僕は、彼女の腕力の前に劣勢だった。抵抗しても無駄で、パーカーを奪われてしまう。「うわっ。や、やめてくださいってば」
「なによそのおなか。ダイエットしたら」カレラさんの攻撃は、執拗だった。ついに、僕のジーンズを下ろそうと襲いかかってきた。「さっきわたしの胸見てたでしょ。硬くしてたら、折ってやるわ」
「や、やめて。お願いだからやめてやめて」僕は叫んで、狭い部屋の中を逃げ回る。
 これだけ暴れまわって騒いでいるのに、周りの軍人たちは、僕らを叱ろうとしない。脅えのこもった目で、ただ遠くから眺めるだけだ。
 カレラさんの手が、いよいよ僕のパンツにかかったとき、部屋の空気が変わった。とても日本人とは思えないくらいがたいのいい男性が、入ってきたのだ。坊主頭の上に軍帽を乗せた彼は、やたらと眉毛が太く、その下の目はナイフのように鋭い。僕らと同じようにマスクを着けているけど、立派な髭が飛び出していた。
「おはようございます、鹿島一等陸尉」
 僕は慌てて真面目な顔を取り戻すと、しゃきっと背筋を伸ばした。しかし、カレラさんは問答無用で僕のパンツを下げた。僕のものがこぼれた。僕は悲鳴をあげた。
「うむ。グレートだ」鹿島一等陸尉は、うっすらと頬を染めて、そういった。
 カレラさんは顔をこわばらせ、さっと僕のパンツを戻した。勢いがつきすぎて、思いっ切り食い込んだ。僕は悲鳴をあげた。
「うむ。デリーシャスだ」鹿島一等陸尉は、うっとりとした顔で、満足げに頷きながら、そういった。
 僕はカレラさんの脳天に、拳骨を振り下ろした。カレラさんはパンツを丸出しにして倒れ、気を失った。
「はしたない。目が腐る。外へ捨てろ」鹿島一等陸尉は目を背け、不機嫌そうな声でそういった。
 僕は、急いでジーンズをはいた。知らないでいい世界を、かいま見たような気がした。
 カレラさんは、本当に外に捨てられていた。

 この場の総責任者である鹿島一等陸尉とともに、僕は別のプレハブに移動する。口にマスクをしっかりと装着した偉そうな軍人たちが、目元にいやらしい笑みを浮かべながら迎えてくれた。僕は、目を逸らす。僕やカレラさんを利用しているだけなのに、いつもふんぞり返っているこのひとたちが、とても嫌いだ。軍人の中で唯一気に入っていたのは、責任感と威厳の塊のくせに、妙に優しいところのある鹿島一等陸尉だったんだけど、さっきの様子を見ていたら、近寄るのが怖くなってきた。
 ミーティングが始まった。鹿島一等陸尉が中心になって、今日行う作戦の詳細をみんなに説明する。だけど、ごく普通の高校生である僕に理解できることじゃない。専門用語が多いし、暗号めいた言葉も多い。しかもみんなマスクをしているので、声がもごもごしている。聞いているだけで、眠くなってくる。
「入ってこい」と、鹿島一等陸尉が外に向かって叫んだ。
 彼の大きな声に、うとうととしていた僕は、我に返った。
 ガチャガチャと真っ黒な防弾甲冑を鳴らしながら、”K兵”が数名、部屋の中に入ってきた。銃身が長くてごついライフルを、軽々しく抱えている。いつもながらカッコイイな、と僕は思う。
 次に入ってきたのは、”K動隊”。つまり機動隊だ。その次は”K察官”。つまり警察官。K作員”こと工作員も入ってくる。”K備員”も入ってきた。トランクスにグローブを着けた”K-1”戦士は、そのまんまだ。空手着の”K手家”も入ってきた。電卓片手に”K計士”もきた。烏帽子をかぶり袴をはいた”K主”や、”K’sマートの社員”まで入ってきた。プレハブの中は、ぎっしりである。
「”K”が、奴らを滅ぼす」鹿島一等陸尉は、重々しい声でそういって、僕の肩を撫でるように叩いた。「”K”の存在を、奴らに知られてはならぬ」
 その場にいた全員が、声を揃えて「把握」と返事した。
「これより、特攻を開始する。”K”を守り、”K”を突入させるのだ」
「え。もうっすか」僕は驚きの声をあげた。まだ心の準備ができていない。
「奴らは待ってくれん。動き出している。隣の部屋で、準備を急げ」
 鹿島一等陸尉に優しく背中を押されたので、僕は逃げるように隣の部屋に行く。お尻がむずむずした。
 そこは、食堂だった。テーブルの上に並べられているのは、ギットギトのトンカツ、にんにく臭いステーキ、辛そうなキムチ鍋、チーズたっぷりのピザ、コロッケ、春巻き、フライドポテト、メンチカツ、唐揚げ、炒飯、チョコパフェ、濃いコーヒーとコーラ。朝飯を抜いてきてるから、おなかが空いているのは確かだけど、眺めているだけでも胸焼けがする。
「量、多くないっすか」
「これくらい喰わないでどうする。噛まずに呑め。時間がない」うぷっといいながら、鹿島一等陸尉は部屋から出て行った。
 仕方がないので、僕は椅子に腰掛け、マスクを外すと、食事を始める。カレラさんも、これくらい食べているはずだ。彼女はいくら食べても太らない体質だからいいけど、僕は違う。最近、顎がたぷたぷしてきた。体重計に乗るのが怖い。
 食事は、十五分で終えた。我ながら、あれだけの量を平らげられるのは凄いな、と思う。
 げっぷをしながら、隣の個室に入る。無菌室みたいな狭い部屋で、僕は用意された服を手に取る。最新鋭の、光学迷彩服。通称”K服”。スイッチを入れると、辺りの風景を取り込んで映し、姿を見えなくする服だ。ぴっちりと身体に張り付くので、ちょっと気持ち悪い。
 着替えながら、なんでこんなことになったんだろうと、僕は思う。奴らがこなかったら、もっと平和に暮らせたんじゃないだろうか。
 いや、違うな。僕のこの力は、いつか僕を滅ぼしていただろう。
 自虐的に苦笑して、顔を覆うマスクまできっちりと装着すると、別のドアから外に出る。
 そこには、”K”の名を持つ兵たちがずらりと並んでいた。みんな厚いマスクをぴったりと着け、羨望のまなざしで僕を見ている。
「期待しておるぞ」
 鹿島一等陸尉が現れて、僕にそういった。彼の舐めるような視線には、気づかないふりをした。
「出撃」誰かが、叫んだ。
 躊躇している暇さえ与えてくれない。僕を囲むように、”K兵”が並ぶ。僕は、”K服”のスイッチを押した。自分ではよくわからないけど、これで姿を消せているはずだ。
 厚い壁のゲートが開き、僕たちは行進を始めた。

 K市の南側は、寂しげな感じだった。商店街はほとんど壊されてなくて、呑み屋もうなぎ屋も薬局も、時間を止めたようにひっそりとしている。当然、ひと気はない。
 特攻はもう何度も経験しているけど、やはり緊張する。僕だけは、殺されることはないだろう。みんなが守ってくれるし、引き際さえ間違えなければ、大丈夫だ。だけど、運が悪ければ死ぬこともある。そう考えると、胃が痛くなる。冷や汗が流れる。
 僕を守るひとたちは、かなり危険だ。彼らの死傷率は、とても高い。国を守るためとはいえ、よく志願するものだな、と感心する。僕を国に売ったお金でのうのうと暮らしているうちの両親とは、比べ物にならないくらい偉いと思う。
「発見」先頭を歩いていた”K備員”が、叫んだ。
 さっと緊張が走る。
 奴らが、遠くの建物の影から姿を現したようだ。
 誰かが命令し、”K”の名を持つ兵たちは散開しながら銃を撃ちまくった。ただの威嚇だ。銃は、奴らに効果がない。アメリカは核を落としたが、奴らは分裂して数を増やした。BC兵器を含め、近代兵器はまったく効果がないのがわかっている。
 ただひとつ、効果があるもの。
 それが、僕やカレラさんが持つ、”K”の力だ。
 K市の南にあるF市にも、”K”の力を持つひとたちがいる。西のM市や、東のO市もそうだ。奴らは、”K”の力に囲まれている。協力すれば、いつでも奴らを滅ぼせると思うのだけど、何故かそうはしない。大人の事情があるらしいのだが、僕には理解できない。
 もっとも、奴らがいなくなって一番困るのは、僕たちかも知れない。この力は、奴らのためにある。奴らががいるからこそ、絶望せずにいられる。僕は、自嘲の笑みを浮かべた。
「正面から、まいりました。あれぞ、ヤケクソアタックでございます」
 烏帽子をかぶった”K主”が寄ってきて、落ち着いた低い声で僕につぶやくと、逃げた。
 奴らが、街道の向こうから突撃してくるのが見える。数は、三体。
 それは、巨大な鼻だった。
 体調五メートル近くある、鼻。
 鼻に、複数の腕と、四本の太い脚がついている。顔は、ない。これが、奴らだ。どこからともなく沸いて出た、侵略者。アメリカを壊滅させ、日本に上陸した殺戮者。
 ちなみに、「奴」という字が奴らの姿にそっくりなので、「奴」と呼ばれている。
 大きな鼻の穴の中で、太い触手のような鼻毛をぶらんぶらん揺らしながら、奴らはどたどたと走ってくる。鼻くそがついているのが見えて、凄く不快だ。
 盾を構えて並んだ”K動隊”が奴らの足に踏み潰され、”K’sマートの社員”が呼び込みを始め、”K手家”と”K-1”ファイターが奴らの鼻息に吹き飛ばされ、”K察官”が速度違反の切符を切り、”K兵”がライフルを撃ちまくり、”K計士”が被害総額を弾く中、僕はギリギリまで我慢する。
 その距離十メートル。
 僕は、マスクを外した。
 すうっと息を吸い込む。そばにいた”K兵”たちは、素早く僕の後ろに退避する。
 奴らが犯した最大の間違いは、日本の、K市に現れたこと。
 K市には、僕がいた。
 喰らえ、と、僕は心の中で叫ぶ。
 はー。
 胃の中の空気を搾り出すように、僕は息を吐いた。
 奴らは、瞬時に死んだ。
 もんどりうって倒れ、そのまま溶ける。
 奴らの弱点は、これなのだ。奴らに唯一効果がある攻撃は、これだけなのだ。
”K”。その正式な名称は、”Kousyuu”。
 つまり、口臭。
 僕の口臭は、世界で一番強いらしい。しかし、僕の最大口臭が持続するのは、約一時間。通常時の口臭では、人間の気を失わすことはできても、奴らは殺せない。
「嬉しくない」
 僕は、口臭を撒き散らしながら、泣きたくなるのを我慢した。

2007年05月14日

俺たちの詩

 俺の部屋に、ジョージとミラーとサンジとカヲリが集まった。
「ヘイ、ビデ。恥ずかしがらずに、ちゃんと書けたか」と、頭髪をポマードでテカテカにしたジョージが、俺にいった。
「当然だろ。おめーらこそ、ちゃんと書いてきたんだろうなあ」俺はそういいながら、折りたたみ式のテーブルを広げた。「ヤワなもの書いてきやがったら、許さねーぞ」
「ハッ。誰にいってんだよ、ビデ。泣かすぞ」長髪のサンジは、相変わらずシブイ革ジャンを着ているけど、もう初夏だし、今日はやけに暑いから、汗だくだ。タンクトップに包まれた丸い腹まで、びっしょりだ。
「まあいい」俺は、指を鳴らした。「今日は、俺たちのバンドのオリジナル曲に使う詩を、決める。一番ハードでロックでパンキッシュな詩を、採用する」
 そうだ。今日は大事な日なのだ。俺たちは、来月の高校の文化祭で、最高で最強のロックンロールを演奏するのだ。
 ギターを買う予定のジョージは鼻で笑い、ベースを買おうと思ったことのあるミラーは不適な笑みを浮かべ、ドラムを見たことがあるサンジは目を伏せ、いつも鼻声のカヲリはもじもじした。そんな奴らを前に、キーボードで演奏したり打ち込みをした夢を見たことがある俺は、大人びた顔で肩をすくめてみせる。
 窓の外で、蝉が鳴き始めた。
 俺の部屋の気温は、五人が集まったことにより、ぐんぐん上昇している。この部屋には、クーラーなんて気の利いたものはないのだ。
「始めようぜ。誰から詩を発表する」ミラーは、ぱつんぱつんの黒いジーンズの後ろポケットからノートを取り出し、テーブルに叩き付けた。「オレはいつでもいいぜ」
 俺は、危なく声を出してしまうところだった。ミラーのノートは、適度に破れ目があり、適度に薄汚れていて、適度に格好がよかったのだ。表紙にも、英文が走り書きされている。字が下手すぎて読めないが、確実に格好いい。
「ファック。汚ねーノートだぜ」そういって、ジョージは黒いジャケットの内ポケットから、手帳を取り出した。「ま。オレの詩にゃあ、誰も勝てねーだろうがな」得意げな顔で、ぱらぱらと捲る。
 またしても、俺は声を出してしまいそうになった。ジョージの手帳も、適度に能率的で、適度に使い込まれていて、適度に格好がよかったのだ。表紙には、2007と金字で印刷されている。
「ビ、ビデ。リーダーから、は、発表したら、いいじゃない」サンジは蚊が鳴くような声でそうどもると、テーブルのそばに正座した。やたら背筋がいい。
 ジョージは無言で頷くと、壁に背をつけて腰を下ろし、立て膝になる。ジャケットを脱いだら、栄養失調みたいな痩躯があらわになった。
 ミラーは窓辺に座り、風を嗅ぐみたいな顔で外を眺めた。この時期に長髪で革ジャンは、苦しいのだろう。たっぷりとした贅肉もあるし。こっそりと、手で扇いでいる。
 カヲリは、俺のベッドに腰を下ろした。黒髪をツインテールにした紅一点の彼女は、今日も顔色が悪い。白い長袖のシャツを着ているけど、暑くないのだろうか。
「いいぜ。じゃあ、このバンドのリーダーである、俺からいく」俺は人差し指で眼鏡をくいっといじると、机の椅子に落ち着き、パソコンのキーボードを叩いた。
 机の横の棚に置いたプリンタが、唸り声を上げる。俺は、内心ほくそ笑む。パソコンで書き、印刷する。これは、かなり格好いいはずだ。なにしろ、この中でパソコンを持っているのは、俺だけなのだ。さりげなくメンバーを見回すと、誰もが落ち着かなげな素振りをしていた。
 先制パンチは決まった。次は、とどめの一撃だ。俺の詩は、完璧だ。ここにいる奴らは、全員感動の涙を流すだろう。拍手喝采することだろう。俺は、天才なのだ。天才だったのだ。詩を書くのは始めてだったが、完成したものを見て、目を疑った。プロだって、これほど素晴らしい作品は書けまい。
 俺は、自信作が印字されたA4の紙を、テーブルの上に放る。


 『俺のロケンロール』

   俺は俺だぜ ロケンロール
   誰も俺は止められないぜ イエー! アイウォンチュー
   まだ16だけど、心は少年 なんでもできるぜ なんでもやるぜ 何故なら最強
   右に行けといわれたら、左に曲がるぜ 俺はいつでも斜め上さ
   だけどアソコは右曲がりなのさー オーイエー!
   油断したなら刺すぜ 火傷するぜ 俺はいつでもマジだぜ ベイビー 
   さりげなく そうさ さりげなく生きるのさ アイラビュー
   惚れるなよ ガールズ
   俺が俺のために贈る 俺の詩 ザ・俺 超俺 この俺こそが、俺なのさ 俺
   俺最高 俺俺俺俺俺最高 俺にシビレて 俺シビレ
   これが俺のロケンロール


  俺の詩が書かれたA4の紙は、そっとテーブルに戻された。
「……次は誰だ」ミラーが、革ジャンを脱ぎながら、そういった。二の腕が、たぷんと揺れた。
 俺は、俺の詩の感想を聞きたかった。自信作の感触を知りたかった。しかし、それはこの部屋を満たす空気を読めば、察することができる。僅かなミスだ。ほんの僅かな傷が、全体の印象を悪くした。天才の俺には、わかる。わかってしまう。そう。ロケンロールではなく、ロックンロールにすべきだったのだ。悔やんでも、悔やみ切れない。
「ヘイ、サンジ。次はオレの番だ」ジョージが、握っただけで折れそうな腕を振って、手帳を投げた。「イエス。どれでもいいぜ。好きなページをオープンしな」
 自信に満ち溢れた顔だ。俺は密かに緊張した。
 サンジは、おずおずとした指で、受け取った2007年度版能率手帳を開く。それは、カレンダーを無視して乱雑に書き殴られていた。


 『ベイビィ ベイベベイベ ベイビィ』

   ヘイ! ベイビィ ベイベベイベ ベイビィ ベイビィ ベイベベイベ ベイビィ
   オーマイガッ ファックファック マザーファッカー アスホール ユー
   ゴッドセイブザクイーン ヘルプ ネバー
   イエアー! リビニガプレイヤー ウェルカムトゥーザジャングル
   スメルズライクティーンスピリット ギヴイットアウェイ
   シンクロニシティ プリーズテルミーナウ ホットフォーティチャー
   アフターバーナー シャウト スレッジハンマー キッス
   オウ! マイフェイバリットイノセンス!
   ヘイ! ベイビィ ベイベベイベ ベイビィ ベイビィ ベイベベイベ ベイビィ


  ジョージの手帳は、そっとテーブルに戻された。
「……次いこうぜ」ミラーの二の腕が、たぷんと揺れた。
「うひ。うひひひ」サンジが、笑い出した。「じ、じゃあ、お、おれのを、見せるよ。ビデや、ジョージよりは、マ、マシかも」
 サンジのその言葉に、俺とジョージは憤然と立ち上がる。ジョージはそのまま脚がつり、ヒギィと呻いて倒れた。「マイガッ。つったつった。脚つった」
「おい、サンジ。どういう意味だ」俺は、ギリッと歯を鳴らした。
「ま、まあ、いいじゃない。お、おれの詩を、見てよ」サンジは、俺にノートを差し出した。なんの変哲もない、ルーズリーフだ。「み、身の程が、し、知れると、お、思うよ」
 この野郎と、俺は思う。どもりで気が弱いくせに、なんて自信に満ちた顔をしてやがるんだこいつは。どんな詩を書いたか知らんが、どうせ軟弱なものに決まっている。たっぷりと批評してやる。


 『私はこのように聞いています』

   観自在菩薩は 行深般若波羅蜜多する時
   照見五蘊皆空で 度一切苦厄なのさ 
   舎利子よ
   色不は異空で 空不は異色さ
   そして色即は是空で 空即は是色だったのさ
   つまり受想行識亦復如是ということ
   舎利子よ
   だからそれは是諸法空相なのさ


「般若波羅蜜多心経かよ」俺は思いっ切り叫んだ。眼鏡がずり落ちた。「読誦経典かよ」
「お前はゴータマか」ミラーが裏声になった。「お前はシッタールタか」
「ファーック。二七六文字の叡智を侮辱かよ」ジョージがうずくまりながら唾を飛ばした。「シーット。完全なる智慧を陵辱かよ」
「……みんなよく知ってるね」カヲリが、ぽつりとつぶやいた。
 俺たちは顔を見合わせる。
 別に意味も他意もない。俺たちは中学時代、「はんにゃ」という響きに面白さを感じて、ちょっと調べたりしただけだ。
「し、知らねーよ。ロックンローラーが大乗仏教なんて、似合わないぜ」ミラーが、そう吐き捨てた。
「まあいい。次は、ミラーだ」俺は、ミラーを指さした。「お前の魂を見せろ」
「ハッ。腰抜かすんじゃねーぞ」ミラーは、たぷんと腹を揺らした。
 

 『わがままジュリエッタ』


「つか、タイトルしか読めねーぞ。ジーザス」脚をさすりながら、ジョージが吠えた。
「字、汚すぎ」俺にも読めない。昔からミラーの字は下手くそだったが、今やミミズがのた打ち回る領域を超えて、芸術的ですらあった。
「し、しかも、な、なんか、と、盗作っぽ」サンジは、くすくす笑った。
「うるせえな。ちゃんと読めよ。すっげーいい詩なんだぞ」ミラーは、自分のノートを奪い取った。「オレにも読めねー」ノートを床に叩き付けた。
 俺は、安心していた。どいつもこいつも、レベルが低い。間違いなく、俺の詩が一番イケている。ロケンロールをロックンロールに直せば、誰もが認める完璧なものに仕上がるだろう。パソコンの中のテキストを修正するだけだから、今すぐにでも再提示可能だ。
「最後は、わたしね」と、カヲリがいった。
 汗だくの俺たちは、ざっと身構える。
 そうだ、まだ我がバンドの紅一点、メインヴォーカルのカヲリが残っていた。ここは俺と彼女の一騎討ちかも知れない。いや、カヲリは優等生で、国語の成績はいいが、詩はどうだろう。学校の授業じゃ、センスまでは教えてくれない。
 顔色の悪いカヲリは、鞄の中から可愛らしいデザインのノートを取り出した。長袖のシャツに包まれた腕を伸ばし、俺に渡す。
 彼女は不健康そうな顔色をしているが、ルックスはいい。俺の趣味からしても、上の下といったところだ。カノジョにしてやってもいい、とすら思っている。ただ、ここにいる他の連中は中学時代からの悪友だったが、カヲリだけは高校で知り合った。学校での彼女は知っているけど、プライベートではどんな女子なのか、まだわからないところがある。詩は、ひとの心を写し出す。彼女が書いた詩を読めば、彼女の内面が伺い知れるだろう。
 俺は、ぱらりとノートをめくった。


 『死ねばいいのに』

   朝 昨日吐いた血海で顔を洗う 鉄の味 腐った匂い
   大腸で歯を磨く にちょっとした歯ごたえ ガムみたい 味はわからない
   朝食 脳味噌 すっぱい
   昼食 唇 にがい吐
   夕食 眼球 からい
   夜食 わたし 死ぬ
   救って
   死体になったらお願いします 中身を出して 洗って
   腕を切る 腕を切る 腕を切る 腕を切る 切る 切る 切る
   カッターナイフ 腕を切る 血が流れる 痛い 痛い 痛い 痛い
   だけど、生きてない 視界がない なにもいない 誰もいない
   生きているのに
   誰
   死体にしたならお願いします 抱きしめて 捨てて


 血で、書かれていた。
 カヲリが、にこりと笑った。目が、笑ってなかった。

 俺たちは、コンビニにおでんを買いに出かけた。

2007年05月15日

悪魔の顔

「おら。起きろ。おめーの魂をもらいにきた」
 ボクが目を開けると、そこに悪魔がいた。ベッドで寝ているボクの上にかぶさるように、悪魔がいたのだ。
 暗い部屋。壁に掛けた時計は、丑三つ時を指す。
 どうして寝ぼけ眼のボクが、彼をひと目見て悪魔だと判断したかというと、それはもう悪魔としかいいようのない黒く邪悪な痩躯だったからで、つまりごく一般的な悪魔の格好をしていたからだ。声も台詞もありきたりだし、ぴっちりした黒い全身タイツとか尖った耳なんかも古くさい、古典的な悪魔。今時分、もう少し個性を持たないと仕事がなくなっちゃうんじゃないかな、なんて、ひとごとながら心配してしまう。
「うるせー。余計なお世話だ」
 さすが悪魔。ボクの心を読んだらしい。変態の悪魔のくせに。スケベめ。
「ふざけんな。悪魔が人間になんか手を出すわけねーだろ。インキュバスじゃあるめーし」
 サキュバスといわないところがさすがだね。で、ボクになんの用。と、ボクは心の中で思う。
「心の中で思う。とかいっちゃってんじゃねーよ。横着すんな。ちゃんと口開いて喋れ」
 キミの心を読む能力って凄いけど、読まれる方は楽だね。なにしろ、口とか声帯とか腹筋とか使わなくても会話ができるんだもの。あー楽。喋らないでいいって楽。キミは大変だね、口を開いて声帯使って腹筋まで使って喋らなくちゃいけないだなんて。お疲れ様。と、ボクはベッドに寝そべったままで思う。
「うるせーよ。キミとかいうんじゃねー」悪魔は、苛々ただしげに声を荒げた。「もー少しびびれよ。恐がれよ。泣けよ。わめけよ。叫べよ。悪魔が目の前にいんだぞ。助けてー、だろ。許してー、だろ。もしくは疑えよ。悪魔なんかいるわけないー、とか。これは夢だー、とか。なに達観しちゃってんだよ。つまんねー奴だなおめーは」
 だって、泣いたってわめいたって叫んだって疑ったって、ボクの魂を取ってっちゃうんでしょ。意味ないよ。疲れるだけ。無駄無駄。
「効率ばっかもとめてんなよ」悪魔は、顔を歪めた。「おめー、中学生だろ。そんな歳からそんなんで、この先どーすんだよ。ろくな大人になんねーぞ。親が泣くぞ」
 だって、死ぬんでしょ。これから。
「そーだけどよ」渋い顔をして、悪魔は顎を撫でた。「どーも調子狂っちゃうぜ」
 可哀想な悪魔。同情しちゃう。
「おめーだろが」悪魔は怒鳴る。「なんかこう、辞世の句とかねーのか。最後にひとつだけ頼みがある、とかすがってこいよ」腕を広げた。
 へー。頼み聞いてくれるの。悪魔のくせに。
「いや、聞かねー」悪魔は首を振った。
 なにそれ。頭悪そうなこというね。あ、だから悪魔っていうのか。頭の悪い魔物。
「ちげーよ」悪魔は唾を飛ばした。「悪魔は悪魔だよ。頭が悪いんじゃねー。やることなすこと全部悪い、徹底的に悪い悪魔のことだよ、悪魔ってーのはよ」
 やっぱ頭悪いよ。あと顔も。
「うるせえ。顔のことはいうな」さっと、悪魔は体を引いた。「ちくしょう。顔のことはいうな」
 確かに、徹底的に顔が悪いね。実は、最初キミを見たとき、泣き叫ぶ寸前だったんだ。キミのそのデッサンの崩れた酷い顔で。
「嘘つけ」悪魔の声が小さくなった。「嘘だといってくれ」
 心の中で嘘をつくなんて器用なこと、ボクにはできないよ。思ってることを勝手に聞いてるだけじゃない。だから、もうこれ以上ボクの心を覗いちゃ駄目だよ。
 それにしても、ぶさいくな顔だなあ。チョーブサメンだ。信じられないのは、こいつの顔だよ。骨格からして間違ってるね。どうやったら、こんなに醜くなれるんだろう。努力や素質だけじゃ、あそこまで悪くなれないよ。なにあの目。まるで相撲取りの下痢だね。いや、下水道にあるドブネズミの巣みたい。道ばたに寝そべってたら、間違いなくゴミだと思うね。なにあの鼻。臭ってきそうなほどの醜男。その、牛乳を拭いたぞうきんみたいな顔を見せるだけで、全人類が逃走するよ。なにあの口。たぶん、悪魔の中でもダントツで悪い顔だな。古今東西、こいつほど顔の悪い悪魔はいないはずだよ。
「そこまでいうの」悪魔は、めそめそと泣き始めた。「どこまでいうの」
 心を覗いちゃ駄目だっていったのに。ていうか、仕事しなよ。なに泣いてんの。酷い顔がぐちゃぐちゃじゃない。吐瀉物みたい。わかった。その強烈にぶさいくな顔で、ボクを殺す気なんでしょ。
「もうやめてよ」涙と鼻水を滝のように流しながら、悪魔はつぶやく。「顔のことはやめて」
 早くボクを殺しなよ。顔を近づけてくれれば、ショック死するよ。急性心不全で死ぬよ。ああ、世の中に多々起きてる急性心不全って、全部キミが起こしてたんだね。その強烈に酷い顔で。
 そう思いながら、ボクはむくりと起きあがる。悪魔は、ばばっと飛び退った。
 ボクは、悪魔の顔をじっとみた。
 ボクは、白目を剥いて、ぱんたんと倒れた。
「わあ。死んだ。オレの顔を見て死んだ」悪魔は泣き叫ぶ。「顔で殺すなんて、そんなつもりなかったのに。魂を掴み損ねた」ばたばたと、暴れる。「どうしよう。どうしよう」
 悪魔はしばらく部屋の中をうろうろしていたが、肩を落として大きなため息をつくと、ふらふらと窓から外へ飛んで行ってしまった。
 カーテンが、揺れた。冷たい風が、すうっと流れてきた。
 ボクは、ぱかっと目を開けると、枕元に置いてあった携帯電話を手に取る。あの悪魔は、間違いなく麻美だ。コール音が鳴る。十三回待たされて、やっと相手が出た。
『……はい』消え入るような、小さな声。
「麻美。ボクだよ。わかってるか」ボクは、眉間に皺を寄せる。「今、悪魔を追い返した。ったく、いいかげんにしてくれないかな。今日のはバカで助かったけど、毎回巧くいくわけじゃないんだかんね」
『うっさいボケ。死ね。浮気者』可愛らしいか細い声が、そういった。『内臓ぶちまけて、死ねガチャン』
 電話が切れると同時に、窓に黒い影が現れた。
「オレはアクマだ。貴様の魂をもらいにきた」
 やたらシャープなシルエットの悪魔が、そういった。こいつは、おそらく保奈美の召還した奴だろう。さっきみたいな、口車じゃ相手できない。ボクは身構えると、指にはめたリングを光らせる。瞬時に、ピンク色に光るビームサーベルが、ボクの手に収まる。
「……貴様、滅魔師か」悪魔が、顔色を曇らせる。
「ただの女好きだよ。好きになる娘が、たまたまみんな召還師だった、ってだけ」
 ボクは、問答無用で斬り伏せた。

2007年05月18日

あとがき 一作目~五作目

 はじめまして。星野弧絵です。
 このブログで、オリジナルのライトノベルを書いています。短編ばっかりです。
 衝撃的なことに、ブログを起ち上げて半月くらい経ちましたが、五月十八日現在、ユニークアクセス数が4件という、素晴らしい結果になりました。
 腰が抜けそうです。
 腰砕けです。
 なんかこう、どうにかしなくちゃなと思い、軽く焦っているんですが、なるべくライトノベル以外は載せたくないので、困りました。ライトノベルなので、イラストは載せるつもりなんですが、まだペンタブレット買ってません。
 そもそも、オリジナルのライトノベルだけっていうのが、間違っているのかも知れません。
 コンセプトからしてだだ滑りです。二次創作とか入れた方がいいんじゃないでしょうか。いや、そういう問題でもないような気がします。
 だけど、このコンセプトを曲げたくはありません。頑固一徹。初志貫徹。ライトノベル集を死守します。
 んじゃあ、あとがきならいいかな、とか考えました。あとがきも、小説の一部です。
 あとがきって苦手なんですけど、背に腹は代えられません。更新してpingを飛ばすのです。

 というわけで、自画自賛の解説を書きます。
 作品は、全部面白いです(キッパリ)。
 あっ。ごめんなさい。

鼻毛出てるよ
 記念すべき第一作目。ある意味処女作。いいのか、こんなんで。
 二~三時間で書き上げて、ちょこっと推敲。あんまし手をかけてません。
 実話じゃありませんから。
 とりあえずなんか書きたかったので、思いつきだけで書きました。やり方によってはもっと劇的にできたような気がします。まあ、ネタがネタなんで、これ以上どうにもしませんが。あーでもどうにかしたい。

脇の下のビームで
 二作目。
 これも二~三時間で書き上げて、ちょこっと推敲。
 脇の下からビームが出たら困りますよね? 特に女の子なら。
 ワンアイディアの投げっ放し短編。いろんな意味で、中途半端かつ消化不良気味。でも、こーゆー感じなのが好きなんです。投げっ放しサイコー。ごめんなさい。

Kの力
 三作目。気に入っている作品。下品率、上がってます。
 初稿に四~五時間かかったはず。それから数日に渡ってかなり推敲しました。
 こ、これも実話じゃありませんから。
 今のところ、一番分量の多い作品。短編にしては、冒頭の引きが弱いです。カレラが出てくるまで読んでくれれば、あとはずばーっと行けると思います。ラストでうははと笑っていただけたら、嬉しいです。

俺たちの詩
 四作目。これも気に入ってます。
 三~四時間くらい。推敲は、時間を空けて何度かやりました。
 バカばっかりです。詩に、気合いを込めました。
 コント風の短編。こんな感じのネタ、マンガで読んだ気がします。インスパイアみたいな感じです。でもこのオチ、どーだろ。

悪魔の顔
 五作目。
 二~三時間くらい。推敲はあんまししてません。
 よくあるシチュエーションに、あんまりなさそうな対応。
 なんとなくで書き始めて、なんとなくできた作品なんですけど、読み直してみたら、コレけっこーイケてるんじゃね? とか思えるほど気に入る作品になりました。後先考えてない、シチュエーションだけの投げっ放し短編ですが。

 えー、こうして見ると、基本的に投げっ放しな短編ばっかりです。このノリは、短編というか、ショートショートです。分量的にも。
 意識的に「!」とか「?」とか「!?」を使ってません。一般的な小説っぽく書いてみました。そのせいか、勢いとかなくなってます。失敗かも。
 次作からは、もっと読みやすさを考慮しつつ、「――」なんかも使ってみようかと考えています。

 これからも、巷で噂になるくらい、切磋琢磨して頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 目指せ、ユニークアクセス数10件!

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