「クワイエットルームにようこそ」を観てまいりました。原作・脚本・監督は、松尾スズキ。主演は、内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、大竹しのぶ。あとお笑いコンビのハリセンボン。例によって塚本晋也と庵野秀明としりあがり寿も出てました。
劇場は、立川のCINEMA CITYです。
ものすごい行列ができてて、なにかと思ったら、「恋空」でした。今、求められている商品がどんなものなのかが、よくわかりました。
さて、それはともかく。
「クワイエットルームにようこそ」は、とても面白かったです。
松尾スズキ初監督作品の「恋の門」がとても面白くて気に入っていたので、長編二作目である今作も観に行ったんですけど、期待以上の作品でした。絶妙なバランス感覚。「クローズZERO」といい、邦画はまだまだ捨てたもんじゃないですよ。
いきなり庵野監督が白衣着て出てきて血を吐いて倒れたときにはどーしようかと思いましたが。
「恋の門」とは違って、演劇的な雰囲気でした。主な場面が精神病院の限られた場所だけなところが。
現実とはどこか異質な世界に凝縮される、ヘンテコな人間模様。コメディタッチだけど、深いとこまで潜り込んできます。
上手く生きられない自分自信を振り返らないように見ないようにしてきたのに、外因的にも追いつめられて、おかしくなっていく。見失っていく。見えなくなっていく。閉じこめられて、突きつけられて、やっと気づく。そして、再生。以前とは、ちょっと違って見える現実。
主人公の内田有紀が、とても良かったです。不潔で自堕落な役どころも、元が綺麗なので嫌悪感がありません。ゲロ吐いても、おぞましい蕁麻疹まみれになっても、目を逸らすことなく観ていられました。踵を鳴らせないドロシー。精神病院は、彼女にとって迷い込んだオズの国でした。
大竹しのぶは強烈な上にリアリティがあってすんごかったんですが、ハリセンボン箕輪はるかの鼻水もすごかったです。ハリセンボン近藤春菜の方は、どこに出てたのかいまいち釈然としません。
なんか平岩紙という娘がお気に入りになりました。劇団大人計画の団員で、紙という名前も松尾スズキが付けたみたいです。
もう塚本晋也監督は役者で良いいと思います。同じように、松尾スズキも映画監督で良いと思います。宮藤官九郎なんて、妻夫木聡よりも巧く完璧に演じてました。
つか、けっこー天はひとに二物も三物も与えてますよね。
ゼロ物のひともいますが。
泣きそう。
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