くどく幻惑的

2007年10月24日 00:00:00 | 【カテゴリー: 2007年に観た映画
この記事の所要時間: 約 3分29秒

 やっと「姑獲鳥の夏」を観ました。「魍魎の筺」をやるみたいなんで、観ておこうと思い。
 実は、今まで観るのを避けてたのには、理由があります。
 キャスティングです。
 もちろん異論あるでしょうけど、個人的には
   中禅寺秋彦  = 役所広司
   関口巽    = 真田広之
   榎木津礼二郎 = 加賀丈史
   関口雪絵   = 小雪
 だったんです。
 木場修太郎だけがイマイチ決まらず、渥美清と北野武が合わさった感じでした。
 というわけで、堤真一? 永瀬正敏? 阿部寛? 宮迫博之? はぁ? なんて思ってました。
 こだわりです。執着です。
 でも、実はみんな好きな役者でした。
 というわけで、実はオールOKでした。実は雨上がり決死隊の宮迫って、自分の中では役者として評価高いです。
 さて。
 原作は当然既読というか新刊出たら必ず買うくらいなんですが、関口くんが壊れること以外、スッカリ忘れてました。
 いやあ。
 賛否両論ありましたが、原作を思い出させるほど、くどく幻惑的でした。これはこれでいいと思います。
 永瀬正敏はいい味だしてたと思います。惑わされ、墜ちていくのにふさわしい雰囲気を感じました。
 堤真一は、巧い役者だと思うんですけど、長台詞が多いせいか、やたら文節を区切って喋るのが気になりました。
 榎木津礼二郎と木場修太郎は、存在自体が微妙でした。キャラクターのトンデモ具合が低いというか。ハジけキャラだしハジけ役者なのにハジけてなかったです。しかしまあ、これからですね、彼らがハジけてダイカツヤクするのは。
 それにしても、実相寺昭雄監督。相変わらずの個性。この監督って、すごく若い。大御所なのに、とっても尖った魚眼な映像。昔からこうなんですけど、こーゆーことを個性としてずーっとやれちゃうのって、とても立派だと思います。江戸川乱歩とか京極夏彦の作品には、合うと思います。
 セットとかしょぼかったですが、それすらも個性。昭和の映像。
 もともとトリックは反則なのでミステリとしてはアレなんですが、謎解きシーンは登場人物の反応がナニでした。残念ながら、この映像の中では、松尾スズキは浮いてました。いしだあゆみも。
 面白かったです。
 つか、京極夏彦は出過ぎだと思います。

「悪夢探偵」を観ました。カルト邦画の第一人者、塚本晋也監督の新作です。続編も作ってるみたい。
 松田龍平が主演なのはいいんですけど、主役はなんとびっくり、アーチストのhitomiです。
 hitomiは、見た目はすごく綺麗でグッドです。顔芸も意外とイケてます。ビジュアル的には大合格だと思います。映像の中で栄えます。でも、喋るとダメです。とてもカツゼツが悪いし、感情が入ってません。顔芸とビジュアルが完璧なだけに、ギャップがとても激しいです。吹き替えが必要だと思いました。
 松田龍平は、もうどんどん良くなってますね。日本人の若手役者の中じゃあ、ダントツなんじゃないでしょうか。こーゆーひねくれた暗いダメな男を演じさせると、とってもいい具合です。
 内容的には、塚本晋也の代表作「鉄男」を彷彿させる感じでした。あれほどエロ・グロ・ナンセンスではないですが、敵役として塚本晋也監督本人が出てきて鼻血を垂らすというのは、懐かしいなーというか相変わらずだなー思いました。
 夢の中に入ることができるだけ・・の、悪夢探偵松田龍平。対するは、夢をリンクさせることで相手を自殺させることができる、塚本晋也監督。
 主人公を含め、自殺したい動機とかほとんど語られないので、ちょっと納得できないところがありました。自殺するのに明確な動機などないのだ、と思っていても、それを実際に作品として出されると、首を捻らずにはいられません。切迫感と説得力が足りてない気がしました。
 グロとカメラワークの激しさは、かなり不気味でホラー的(「死霊のはらわた」的)でしたが、どことなく軽さを感じるところは、塚本晋也の個性だと思います。
 面白かったです。
 ところで、続編にもhitomiは出演するんですかね?
 ああ、いやだいやだ。
 あ。これ↑は主人公のキメ台詞です。いいたかっただけです。気に入っちゃいました。

 

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コメント / トラックバック1件

  1. やまやま より:

    実相寺監督、亡くなられて、もう一年ですね……。
    この方の演出作品が無ければ、初代ウルトラマン、
    ウルトラセブンも、ここまで後世に残らなかったかも知れません。
    ましてや怪奇大作戦など、実相寺演出回だけで、
    現状での高評価が確定したのは間違いないでしょう。

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