レッドクリフ Part II

2009年04月28日 00:00:00 | 【カテゴリー: 2009年に観た映画
この記事の所要時間: 約 3分51秒

「レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―」を観ました。立川の、CINEMA TWOです。2009年4月10日公開だから、だいぶ経っちゃいました。
 前作で、焦らしに焦らしまくった、赤壁戦です。
 いよいよ、決戦です!
 トニー・レオンが、金城武が、中村獅童が、ピエール瀧が、血相変えて、気を吐きます!
 果たして、孫権劉備連合軍は、曹操に勝てるのか!?
 勝てます。
 まあ、歴史がそーなってますし。
 すでに、ネタバレしてます。

 びっくりしました。
 この「レッドクリフ」って、とても貴重な位置づけの三国志でした。
 基本的に、三国志って、蜀じゃないですか。三国志演義でも、劉備サイコー! みたいな雰囲気じゃないですか。人形劇でも、劉備様ステキー! じゃないですか。そうでもなきゃ、曹操スゲー! みたいな感じじゃないですか。三国志って。
 三国の中で、持ち上げられるとしたら、蜀か、魏。
 主人公になるとしたら、劉備か、曹操。
 地味なんですよね、呉って。
 孫堅、孫策の時代は、わりとブイブイいわせてたんですよ。
 でも、孫権の時代になると、落ち着いちゃう。
 戦国時代に落ち着いちゃうっていうのは、実はとてもすごいことなんですが、やっぱ地味なんですよ。呉の民には悪いですけど、派手さがない。
 陸遜、呂蒙、甘寧、周泰、蒋欽、徐盛、陳武、凌統とかいますけど、本格的に活躍するのは、もうちょっと後ですし。しかも、一瞬の輝きです。
 赤壁の時代には、韓当、黄蓋、程普というベテラン武将がいますが、イマイチぱっとしません。周瑜だけが、桁違いに輝いている時代です。
 だから、今までは、ありませんでした。
 いや、ないことないんですが、やっぱり地味だったんです。
 でも、違いました。
 この映画は、違いました。
 そうです。
「レッドクリフ」は、歴史を突き抜けて呉が大活躍しまくっちゃう、超三国志だったのです!

 てっきり、おいしいところを孔明が、劉備軍が、全部持って行くのかと思ってたら、違いました。
 前例が、通用しません。
 なにしろ、この映画の劉備は、とんでもないダメ人間です。完全に落ちぶれちゃった、ペシミストです。だんごを作るしか、能がありません。まるで威厳もカリスマもありません。関羽や張飛、趙雲までもが、愛想を尽かして勝手に戦場へ向かってしまうくらいです。
 なので、劉備軍は、主役じゃありません。
 孔明すら、ニコニコしているだけ。
 ですから、周瑜が大活躍。全てを背負った周瑜が、苦悩しながらも大活躍。
 小喬も、身を賭して、健気に大活躍。
 孫尚香なんて、度肝を抜くスパイ活動で、超活躍。本当は、劉備のとこへ行くハズなのに、ペシミストな劉備にまったくなびくことなく、敵陣で恋をしちゃったりします。胸が締め付けられる乙女っぷりを、見せてくれました。正直、ここしか泣き所ありません。
 甘興は、見事に爆死してくれました。初めからこの為に出てたんだ、ってくらいの、渾身の死にっぷりでした。
 黄蓋の苦肉の策は、まさかの却下。語源がなくなっちゃっいました。
 そして、ありえないことに、孫権までもが、前線に出て戦い出します。彼は、呉の主ですよ。王ですよ、王。いずれ呉の皇帝を名乗る男が、最前線で、戦っちゃいます。
 すごい。呉がすごい。
 曹操を追い詰めた周瑜の周りに、孫権、黄蓋、関羽、張飛、劉備が、勢揃い。やけに厚遇を受けている趙雲は、得意の槍アクロバティックで、小喬を奪取。孫権の矢が、曹操の髪留めを射ました。
 本当に、すごい。呉がすごい。呉がすごいなんて、すごいすごい。
 あまりにすごすぎるので、どう考えても、このあと三国志になりそうにありません。
 だって、赤壁の戦いって、劉備軍がどさくさにまぎれて荊州南部をごっそりいただいちゃう、っていう戦いなんです。確かに、曹操軍と呉軍は戦いましたが、史実だと、疫病で曹操軍が自滅したってくらいで、そんなに重要じゃないんです(復旧に時間かかったけど)。放浪軍だった劉備が、呉を騙してついに領地を持つ、ってとこが肝要なんです。
 しかし、「レッドクリフ」には、それがありません。
 周瑜がすごすぎるし、劉備はなにもかもを諦めちゃってますから。
 このあと、間違いなく、趙雲、関羽、張飛は、呉の武将になります。南郡攻防戦はなさそうなので、周瑜は死なないでしょう。確実に、天下二分の計。隠居した劉備と孔明は、呉が魏を滅ぼすのを、ただ眺めているだけになることでしょう。
 興奮してこんな妄想抱いちゃうくらい、すごい映画でした。

 いゃあ、映画って、本当に面白いものですね。

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コメント / トラックバック3件

  1. ぐぇん より:

    そもそも劉備ってあんな英雄ぢゃないしなぁ。
    張飛とかそもそも山賊ぢゃなかったか?ただの盗人。
    赤壁だって、別に諸葛亮がどう以前に、疫病がはやちゃって
    曹操の軍がかってにボロボロになったタナボタみたいなもんだしなぁ。
    そりゃ連環の計(だったけか?)とかもそれなりに利いたんだろうけど。

    正史をもとにした三国志の英が作ってくれないかなぁ。劉備なんてクソですよ。
    ビバ曹操。そしてビバ孫堅。

    あ、でもそうしたらやっぱり呉は地味なまんまだね・・・だめだこりゃw

  2. Stonecold より:

    劉備は、詐欺師かも知れませんなあ。貧乏人とかいっても、しっかり学校通ってたし。
    そういや、連環の計もなかったです。同じことやってましたけど、誰かの策じゃなくて、自滅っぽい感じでした。

    正史っぽい三国志だったら、やっぱ「蒼天航路」ですよ!
    まあ、スーパー三国志ですが。

  3. ぐぇん より:

    蒼天航路も呉、じみぢゃね?(笑)

    曹操軍全体的の破天荒ぶりはたまげるけどw

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