Chapter 1:衝撃のファーストアタック

2012年02月23日 21:13:54 | 【カテゴリー: ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム
この記事の所要時間: 約 14分30秒

 これは、とあるカードゲーマーの家にある12個のデッキから生まれた物語である。
 もちろん、オールフィクションであり、脳内妄想であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありませんし、精神に異常をきたしてもいません。

FFTCG
Chapter 1:衝撃のファーストアタック

『さあ! いよいよ始まりました! ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム第4回ワールドプレミアム大会決勝っ! 実況は、わたくし古鼬射一郎。解説は、第1回第2回FFTCGワールドプレミアム大会で連続優勝したチャンピオン! あの、リビング伝説っ! ファイナル・大沢さんですっ!』
『ちょっと古鼬さん。なんすかリビング伝説って。居間の伝説みたいになってるじゃないすか』
『生ける伝説ってことですよ! ほら、リビングデッドっていいますでしょう!』
『なんすかその例え。余計嫌っすよ』
『まあまあ、そんなこといわず、今日はひとつよろしくお願いします! えー、今日はこのスーパー武蔵小金井ドームに、約6万人の観衆が集まりました。とんでもない注目度です! 今! 観客席のみなさまは、トーナメントの組み合わせが行われようとしている、ドーム中央に作られた戦いの舞台に釘付けです! しかしちょっと残念ですねー、ファイナル・大沢さん。ファイナル・大沢さんも、引退されてなければあの舞台に立っていたでしょうに!』
『……』
『前回の第3回ワールドプレミアム大会、ブルーアイズ・鹿馬との死闘が懐かしいですねー! ファイナル・大沢さん、ストレート完封負けしたんですよね? 引退を決意されたのは、その時でしょうか?』
『……引退してねーよ。予選で負けたんだよ』
『おおーっと! トーナメント組み合わせ抽選会の準備が整いましたか? いや、まだのようですねー。ちょっと準備に時間がかかるようです。しかしファイナル・大沢さん、これは楽しみですねー!』
『……まあいいや。そうっすね。わくわくするっすね、こーゆーのは。ええと、12人のトーナメントですけど、前回優勝者のブルーアイズ・鹿馬と、準優勝のダルダル・武藤は、シードですね』
『そのようです! 前回の決勝戦で我々観客を魅了した激しい戦いが、今回も見れるのでしょうか! しかし! 今回予選を勝ち抜いてきた選手達も、ひと癖もふた癖もある強者ばかり! ズバリ! ファイナル・大沢さんは、あの12人の中で誰が優勝すると予想しますか?』
『んー。とはいえやっぱブルーアイズ・鹿馬なんじゃないっすか? 前回優勝してるし。あと、クイーン・渡辺もいいとこいくと思うっすよ』
『なるほどっ! 無名のくせにとんでもないルックスで阿鼻叫喚の大歓声を浴びた、あのクイーン・渡辺ですか! さすがファイナル・大沢さん! お目がビッグプライスですねー!』
『それ、お目が高いっていいたいんでしょうけど、逆だから。ビッグプライスって大安売りだから。全然すごくないことになってるから。プライスつけちゃダメだから』
『ところでファイナル・大沢さん! クイーン・渡辺は、どのへんに期待してますか?』
『どのへん、っつーか、俺、あいつに負けて予選落ちしたからね。ボコボコに負けたからね。勝ってくんないと困るんだけど』
『なるほど、私怨で応援ですか! HEY YO! って叫びたくなりますね!』
『ならねーよ』
『他に注目の選手というと、どなたでしょうか?』
『そうっすねえ。同じくシードでいうと、ナイト・内藤とロワール・田中も強い、っつーか有利だろーね。1戦少ないすから』
『当たり前じゃないですか。しかしですね! そもそもですよ? 4名もシードになってますが、トーナメントに12名というのは中途半端なんじゃないでしょうか。その点、ファイナル・大沢さん、どうお考えですか?』
『デッキが12個しかないからしょーがな
『おおーっと! 抽選会まで少し時間があるようです! では、ここで特別ルールの説明に入りましょう。ノーシャッフルデスマッチ。聞き慣れないルールですねー、ファイ沢さん』
『変な縮め方しないでください。えー、ノーシャッフルデスマッチ、っすか。2回戦目だけシャッフルしないという特殊なルールっす。でもねえ。これねえ。試してもないのにいきなり前回のエントリで発表したんだけど、いざ試してみたら、これがもうめんどくさいめんどくさい。フィールドや手札のこと忘れててアップ後慌ててルール付け足したり、わかりにくいとこちょこちょこ書き直してたりするし、調子に乗らないで通常ルールにしとけばよかったと、ぶっちゃけ後悔
『おおーっと! 抽選会が始まりそうです! 皆さん、大画面のモニターにご注目ください! ファイ沢さんは、あとで便所きてください』
『まじか』


『さあ! 6万人の観客が見守る中、今、まさに今、運命のトーナメントが決まろうとしています! そして12人の選手が並ぶ舞台の中央には、特殊な装置が組み込まれたテーブルが置かれています! ファイナル・大沢さん、あの装置が今大会の目玉ともいえるものなんですよね?』
『そーっすね。引いたカードのキャラクターが3D映像になって飛び出すみたいっすね』
『楽しみです! おおっと! BGMが変わりました! ファンファーレが鳴り響きます! いよいよ! いよいよ! 抽選会が始まるようです! これから、選手達が順番にFFTCGのカードを引きます! そしてコストが試合順に! 同じカードを引いた者どうしが戦うことになります! トップバッターは、もちろんエントリーナンバー1! 背中の大剣が誇らしいソルジャー・村田! 鼻息が荒そうです!』
『でかいっすよねー、鼻の穴。なに入ってるんだろ』
『おおっと! 今! まさに! でーたーっ! 聞いてくださいこの大歓声! ソルジャー・村田が引き当てたのは、クラウドです! 振り向くクラウドの姿が、巨大な3D映像となって舞台に現れていますっ! ソルジャー・村田、思わずガッツポーズっ! 素晴らしい! 実に素晴らしい引きです!』
『コスト3の下っ端クラウドとか地味なカード入ってるっすねえ。つか、クラウドのコスプレしたソルジャー・村田が兵士のクラウド引くなんて、なんか微妙にハズレ感が漂うっすね』
『さあ、これでソルジャー・村田は3戦目と決まりました! 対戦相手は誰になるのでしょう。次にカードを引くのは、暗黒をまといし正体不明のデュエリスト! 黒いローブの男、ダークネス・鈴木ですっ! 実家は八百屋だそうです!』
『正体不明じゃないよね』
『さあ、カードを引いたーっ! おおーっと! 出ましたーっ! これは可愛ゆいっ! 1コスの火チョコボだーっ!』
『今なら黒チョコボの方が旬な気がしますけど』
『ぴよぴよでふわっふわのチョコボが、3D映像となって飛び出してきましたーっ! これはハッピネス! ハッピネス・鈴木です!』
『勝手に名前変えんなよ』
『どんどん行きます! エントリーナンバー・3は、ナイト・内藤! 紳士的なたたずまいは、まさにジェントルマン! 彼はシード権があります! さあ、どの位置にくるかっ! 紳士的に、今、まさに、カードを引いたぁーっ! おおーっとぉ! これは7コスガブラスだーっ! 黒金色の重厚な甲冑姿が、どーんと鎮座したーっ!』
『これ、余ったカード使ってるよね。絶対そうだよね。普通こんなんでないもんね』
『シード枠7戦目は、3戦目に勝利した選手と戦うことになります! さあ、お次はニーハオ・佐藤です! おおーとぉ? 前に出るなりいきなりヌンチャク振り回し始めました! 激しい! とても激しい動きでパフォーマンスを……あっ! 落ちた! 落ちましたーっ! ニーハオ・佐藤、舞台から落っこちたーっ!』
『なにしてんの彼』
『少々お待ちください! 今! 今! 係員が必死の救出を! ……大丈夫そうです! ニーハオ・佐藤、戦わずして負けるところでしたが、無事生還しましたーっ! 係員の肩を借りながら、震える手でカードを引きます!』
『どん引きするわ』
『おおーっとぉ! なんと! まさかのクラウドだーっ! 3D映像のクラウドが、再び振り向いたーっ! ニーハオ・佐藤! 3戦目! 早くもソルジャー・村田との対戦が決定だーっ! しかし? おや? ニーハオ・佐藤、何故か悔しそうに膝をついたーっ! やはり先ほどの落下のダメージでしょーか!?』
『2コスのヤンとか引きたかったんじゃないすか? ゴミだし、絶対入ってそう』
「黙ってろ負け犬」『さあ、いよいよ5人目は、前回準優勝者、ダルダル・武藤です! 今日もだるそうです。眠そうな目をしております。この選手も、もちろんシード権を持ってます! 果たして、どの位置にくるのか! 注目です!』
『今、マイク通さずに悪口いったよね。いい捨てたよね。傷つくんですけど』
チッ。『おーっとぉ! 紫色のオーラをまとう、きらびやかな甲冑を着た最強の魔術師が現れたーっ! エクスデスだーっ! 5コスです! 5コスのエクスデスです! シードのダルダル・武藤は、5コスなので5戦目です! 1戦目の勝者と戦うことが決まりましたーっ!』
『今、舌打ちしたよね。聞こえてるんですけど。歓声にかき消されてないんですけど』
『6番目は、今回最年長となる禿野道房です! 何故かちょっと中腰です! フ沢さん、禿野は41歳とのことですが、この歳になっても現役で、しかもこの大舞台にコマを進めてくるとは、いい面の皮、いや、素晴らしいバイタリティですよね!』
『フ沢ってなんすかフ沢って。略しすぎでしょ。不なの? 不沢なの? 不要の大沢ってことなの?』
『さあ、禿野がもじもじしながらカードを引いたーっ! おおーっと! 出ました! ぴよぴよのふわっふわ! チョコボです! かーわゆぅーい! 1コスチョコボが出ましたーっ! そして、早くも2つ目の対戦が決定だーっ! 第1戦目はダークネス・鈴木対禿野道房です! その勝者は、ダルダル・武藤と戦うことになります!』
『負けないからね。俺、負けないから』
『次は、近づくだけで失神確定、スメル・木村ですっ! 係員さえ鼻をつまんで近づきません! 見てるだけでにおってきそうです! さあ、カードを、引いたーっ! おおっと! そんな馬鹿な! 肥だめのにおいの中から、清純な乙女が姿を現したーっ! 引いたのは、2コスのレフィアだーっ! デッキに入れてるひと、見たことないっ!』
『いろいろ酷いこというっすね。まったく間違ってないけど。つか、ヤンじゃなかったっすね』
『8人目は、ご存じFFTCGプレイヤーの華! 可愛い声でファンもメロメロ! 湯布院有樹ちゃんですっ! 有樹ちゃーん! かーわーいいっ! 声! 客席からも、目をつぶったファン達が声援をあげております! それにしても、この大舞台にあの地味な服! いったいどこで買ったのでしょうか!』
『ファッションセンターしまむらでしょ。ちょっと毒舌になってません?』
『きたーっ! 大人気ティーダのニセモノ、4コスシューインですっ! 地味です! すっごい地味です! とっても地味なキャラクターです! 地味オブ地味です!』
『もうやめて。やめてあげて。かわいそうだから』
『おおっと! みなさん、お聞きくださいこの悲鳴を! オープニングで観客を阿鼻叫喚の渦に巻き込んだ男! 壮絶な胸毛を見せて、強烈な睫毛を晒して、濃すぎる顔を振りまいて、この男が登場してしまいます! クイーン・渡辺! ここにおられるファイナル・大沢さんを、ボッコボコのズッタズタのゴミクズ以下のカスオブカスにした、大注目の選手です!』
『そこまでやられてないから。悪意感じちゃうから』
『おおーっとぉ!? な、なんという運命の悪戯っ! 3D映像として飛び出したのは、まさかのシューインですっ! 4戦目、湯布院有樹ちゃんとの対戦が決まりましたーっ! これはまさに、美女? と野獣の対戦!』
『今、美女にハテナつけたでしょ。疑問に思ったでしょ』
『さあ、続きましては、最強の中二、角のついた兜が可愛らしい、ロワール・田中です! 今回最年少、14歳のちびっこバイキング! 思春期真っ盛り! 毎日のティッシュ使用量はゴミ箱1杯分! 国語辞典を開けばエロワードにマーキングする毎日!』
『そーゆーキャラじゃないすよあの子。ねつ造しないでください』
『ロワール・田中も、しっかりちゃっかりシード権を持っています! さあ、いったいなにを引くのでしょうか? おおーっとぉ! セ、セフィロスが出たーっ! セフィロスです! エントリセット限定カードのセフィロスが降臨したーっ! 美しいーっ! 客席からため息と黄色い悲鳴があがるっ! コスト6のセフィロスが、ここにきてまさかの登場ーっ!』
『ちょーど中二病っぽいキャラが出たっすね。でも使えないことないと思うんだよね、このカード』
『おおーっとぉ!? ソルジャー・村田が、何故か膝をついてセフィロスを崇めているーっ!』
『ああ。彼、本当はセフィロス大好きだから。信仰してるから。セフィロス好き過ぎてクラウドになりたがる変なやつだから』
『セフィロスの映像が消えます! 観客の熱狂はまだ醒めませんが、小さなバイキングビッケことロワール・田中は、シードの6戦目に決まりました。2戦目の勝者と戦うことになります。次は、竜を愛してやまない男、ドラゴン・山田です! 紫色の仮面、紫色の全身タイツ。そして股間からは竜の首が伸びています! 表に出れば確実に逮捕される変質者! クイーン・渡辺と双璧をなす、TCG界きっての変態! しかし、この場、この空間、この世界では、腰を前後に振ろうとも、尾っぽのついた尻を執拗に振ろうとも、許されてしまう! 許されてしまうんです! 強者こそがルール! 世界はの常識は、俺が作る!』
『そんな世界嫌だ』
『さあ、もう11人目ですけど、ファイナル・大沢さん。わくわくしますね。どんなキャラクターが現れると予想しますか?』
『やっと振ってくれましたけど、もうレフィアしかないでしょ。2戦目決定でしょ』
『おおーっとぉ!? なんとドラゴン・山田は、レフィアを引き当てましたーっ! 2戦目は、スメル・木村対ドラゴン・山田と決定しましたーっ!』「死ね」
『……ごめんなさい』
『そして、いよいよこの男の出番です! 前回優勝者、天下無敵の超越戦士! 1戦1戦がつねにレジェンド! 傲慢な笑い声には伝説が宿る! 一挙手一投足がすべてサーガ! その瞳の色は狂気の色か! ブルーアイズ・鹿馬! 満を持して登場でーすっ!』
「ワハハハハ! 私はカードなど引かんぞ! 私の居場所ははじめから玉座と決まっておるからな! 貴様ら凡人どもの貧弱な戦いっぷりを、玉座の上で悠々と見守っていてやろう! 退屈させるでないぞ! 抜け出してきたなら、虫けらのように踏みつぶしてくれる! 光栄に思うがいい! ワハハハハハ! 興奮してきたぞ!」
『おおーっと! ここでブルーアイズ・鹿馬、爆裂勝利宣言だーっ! 会場が、割れんばかりの声援とブーイングで埋め尽くされます!』
『つか、あいつオープニングでカラーコンタクトしてなかったよね。オープニングのときはフツーアイズ・鹿馬だったよね。さっき慌てて蒼いコンタクトつけてたよね』
『ほんとーですかフ沢さん』
『あ。恐い。その目恐い』
『さあ、ファイナル・大沢さん! これでトーナメントが決まりました! ブルーアイズ・鹿馬は、8戦目。だいぶ長く待たされることになりますが。モチベーションの維持は大丈夫ですかね? 余計なこといったら殺しますよ』
『マイクはいってるっすよ。えーと。彼なら大丈夫でしょう。自信の塊ですから。カードゲームって、自信の強さが引きの強さに繋がりますんで。いやこれマジで』
『そーですか! 心配はまったくない、といってもいいですね!』
『いや、心配はありますよ。このエントリ、文字多くね? 黒くね? 前回のエントリもそうだけどさ。ブログなんだからもーちょい整理した方がよくね? って思いますね。読者離れが心配っす。ただでさえ過疎ブログなのに、更に減ったらもうどうしようもないっすからね。あと、いつになったら対戦始まるんだよ、って思いますよ。本来なら今回第1戦目が始まる予定だったのに、結局こんなんなっちゃった。衝撃のファーストアタックって、なんもアタックしてないし。確かに衝撃だったかも知れないけど』
「便所こい」
「ファーストアタックきたー」


ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム 第4回 ワールドプレミアム大会 決勝 決闘順
■第1戦
  ダークネス・鈴木  VS 禿野道房
■第2戦
  スメル・木村 VS ドラゴン・山田
■第3戦
  ソルジャー・村田 VS ニーハオ・佐藤
■第4戦
  クイーン・渡辺 VS 湯布院有樹
■第5戦
  第1戦の勝者 VS ダルダル・武藤
■第6戦
  第2戦の勝者 VS ロワール・田中
■第7戦
  第3戦の勝者 VS ナイト・内藤
■第8戦
  第4戦の勝者 VS ブルーアイズ・鹿馬
■第9戦  準決勝
  第5戦の勝者 VS 第6戦の勝者
■第10戦 準決勝
  第7戦の勝者 VS 第8戦の勝者
■第11戦 決勝
  第9戦の勝者 VS 第10戦の勝者


Chapter 2:戦慄のファーストアタック へつづく。

 

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