ふたつの壊音 後編

2009年06月03日 00:00:00 | 【カテゴリー: アリアンロッドRPG
この記事の所要時間: 約 11分39秒

 TRPGプレイ日記です。
 セッション第4回目『ふたつの壊音』のつづきです。ふたつ目です。


ギルド『花鳥風月
キャッチフレーズ「我々は花鳥風月! お金に困っている!」

チキ ヴァーナ(狼族) 女性 【アコライト/シーフ】 レベル6
 プレイヤー:Tiki
 苦労性で、いつも金欠の少女。何故か不意打ちが得意。最近は、アコライトしてる。
 父親が、反神聖帝国軍の隊長。軍資金を調達するために、冒険者となる。宝石魔人ジュエリーザの弱点を知っている。
カヤタ ドゥアン(有角族) 男性 【ウォーリア/サムライ】 レベル6
 プレイヤー:Kayata
 楽天家で行動力のある、ムードメーカー。とても運がいい。肩に、彼にしか見えない鳥を乗せている。
”久遠の森”の、封印守護の一族。何者かに、崖の上から突き落とされたが、運が良かったので生きている。
タルト エルダナーン 男性 【メイジ/アコライト】 レベル6
 プレイヤー:Nyagon
 美少女にしか見えない謎の魔術師。とても金に飢えている。過去の記憶を失っている。
 魔術を使って、大暴れする夢を見る。過去の記憶が、ちょこっとだけ蘇ったもよう。
タケオン フィルボル 男性 【シーフ/サモナー】 レベル6
 プレイヤー:Takeon
 賢くて、マイペースで、ひとがいい。ダンジョンでの仕事はピカイチ。たまに、罠もかかってないのに爆発する。
 魔人になった父親を捜している。右手の甲に、魔族が近づくと痛むという入れ墨が施されている。
じじ ヴァーナ(猫族) 男性 【ウォーリア/ダンサー】 レベル6
 プレイヤー:Ganhiro
 ぷるぷる震える、ダンシングおじーちゃん。川上から流れてきた。


 ミドルフェイズの、つづきになります。
 宝石魔人ジュエリーザを追い払い、ロダニアの街に入った、”花鳥風月”の一行。
 チキは、ため息をつきながら、神殿に向かいます。
 魔王エラザンデルを封じた魔剣を2本抱えたまま、クラン=ベルから失踪してしまったので、連絡しとかないといけません。
 気が重そうです。
 神殿の奥に通されると、いつもの鏡がありました。
 砂嵐が消えると、パッと、ライン神殿の神官長、ランディアが映りました。
「……チキ。なんで、ロダニアなんだ? 例の剣は、2本とも、無事だろうな!?」
 いきなり、渋い顔をされます。
 チキが、クラン=ベルの邪教の神殿での顛末を話すと、ランディアは納得してくれた、というか、合点がいったように、頷きました。
「信じよう。で、最悪な話と、絶望的な話と、凄惨な話がある。どれから、聞く?」
 今度は、チキが渋い顔になりました。
 ランディアは、訥々と話します。
 ひとつ目は、クラン=ベルの神殿で封じていた魔杯リーアグナスが、妖魔に奪われてしまったこと。
 ふたつ目は、その犯人が、”闇の聖女”と呼ばれている妖魔であり、その仲間に、ハゲ頭のモンクと、ガンスリンガーの男がいたこと。
 そして最後は、手薄だったヴァイスの神殿が、妖魔軍団に強襲され、封じていた宝珠ブラック・ウディーレを、強奪されてしまったこと。
 この3日間で、いろんなことがあったみたいです。
 しかも、クラン=ベル襲撃事件の犯人は、チキが知ってるハゲである可能性が高そうです。
 ガンスリンガーも、金をせびりにきた、あの男に違いありません。
 ということは、”闇の聖女”は、あのアコライトです。
「お前の持つ、魔剣ふた振りの重要度が、増した。妖魔に奪われれば、人類は、……滅びる。しかし、聖都ディアスロンドは、この期に及んで、魔剣が届けられるのを、渋っている。なにかあったときの責任を、お前たちに押しつけたいのだろう」
「はあ」
 いつの間にか、”花鳥風月”の責任にされてます。
「待てよ。ロダニア、か……」
 魔剣の処遇で悩むランディアは、なにか思いついたみたいです。
「チキ。聞いたことはあるか? ルディオン山脈の南部に、久遠の森と呼ばれる場所がある。そこには、封印守護の一族が住んでいるという。彼らは、封印のプロフェッショナルだ。……私がいいたいことは、わかるな?」
 ブチッと、通信が切れました。
「……アコライト、、辞めようかな」
 そんなわけで、またしても、無理難題を押しつけられた、チキでした。

 打って変わってカヤタたちは、酒場で商人たちにおごられていました。
 大宴会です。
 猫耳おじーちゃんも、すっかり”花鳥風月”の一員になってました。
 そんな折、カヤタの肩を、誰かが叩きました。
 背が高く、痩せていて、さらさらの金髪の髪をなびかせた、美形のドゥアンです。何故か、目を見開いてます。
「お、おまっ!? カ、カヤタか!? お、おおおお前、生き……、いや、どこいってたんだ? し、心配したんだぜ!」
 カヤタは、冷や汗を垂らす彼に、見覚えがあります。
 封印守護の一族で、族長の息子、リグレです。
 いつもはよそよそしいのに、今日は、やたら馴れ馴れしくしてきます。ウザイくらいです。
 すると、チキが、くらーい顔をして、戻ってきました。
「……しゅーごーう」
 奥の個室に集合して、チキの話を訊きます。
 みんなで、渋い顔になりました。
「今度は、久遠の森? じゃあ、報酬は!?」タルトが、チキに噛みつきました。
 協議の結果、明日の朝、もう一度交渉することになりました。チキだけじゃなく、タルトも入れて。
 なんにせよ、久遠の森に、行くことになりました。
 カヤタの実家がある森です。封印守護の一族が住む森です。
 地図を見ると、ロダニアからだと、馬でも一ヶ月くらいかかりそうな距離です。かなり遠いです。遠いですよ、ランディアさん。ディアスロンドよりは近いけど。
「そうだ。あいつなら、なんか知ってるかも」
 カヤタは、リグレに話を訊きに行きます。
「ああ。それだったら、時空の洞窟を通ればいいさ。あっという間に、久遠の森の、すぐそばまで行ける。洞窟の入り口は、ロダニアから山に入って、3日くらいだぜ」
 リグレは、そう、教えてくれました。
 このとき、リグレの目が、あやしく輝くのを、カヤタ以外は感じました。
「じゃー、リグレ! よろしくな!」
 ファンブルを出したカヤタは、フレンドリーに、リグレの肩を叩きました。

 翌日、”花鳥風月”のみんなは、商人たちから表彰されます。魔人ジュエリーザを撃退し、ロダニア石を護ったことを、評価されたのです。
 報酬として、なんでも10%引きで買い物ができることになりました。
 でも、買い物は、あと。
 まずは、神殿へ赴きます。
「……な、なんだ?」鏡に映るランディアは、警戒しています。
「報酬、少なすぎると思うんですけどー」タルトが、さっそく口を尖らせます。「任務、放棄してもいいんですけどー」
 さんざんいい合った結果、報酬20000G。前金で、5000Gの契約を勝ち取りました。容赦ないです。
 資金ができたところで、買い物です。
 みなさん、何故かカバン類をいっぱい買い揃えていました。

 クライマックスフェイズです。
”花鳥風月”の一行は、ロダニアから、出発しました。リグレの案内で、山に入ります。
 なにごともなく、陽が暮れました。
 しかし、2日目の、夕刻。
 空があかね色に染まる頃、タケオンの手の甲の入れ墨が、ギリッと痛くなります。毒が回るかのように、じわじわと、痛みが増します。
 警戒していると、茂みの暗闇から、人影が出てきました。
「……ほう。さすがだな。気付いた。か」
 赤い木漏れ日の中に、男が足を踏み入れると、その姿があらわになります。黒く長い髪。褐色の肌。美麗な顔つき。銀に縁取られた漆黒の甲冑。そして背には、巨大な剣。
「見付からぬ、とでも、思ったか? それとも、コルンを倒した程度で、奢ったか。結界も張らず、持ち歩くとは、な。舐められたものだ」
 黒衣の美剣士は、端正な顔を歪めます。
「人間ども。我が主の力を封じた剣。……返してもらうぞ!」
 奥の影から、屈強な甲冑を着た髑髏顔の男が3人、飛び出してきます。ブラッディマーダーです。
 戦闘開始、です。
「ひっ!?」怯えたリグレは、カヤタの背中に隠れました。

 ズバアッ! と、黒衣の美剣士は、手を伸ばします。
 すると、魔剣カーディアックが、吸い寄せられるように引っ張られます。すごい吸引力です。ダイソンも真っ青です。
 チキは、慌てて魔剣をつかみます。カヤタも、一緒につかみます。
 チキとカヤタが攻撃に加われませんが、ブラッディマーダーは攻撃してきます。そのうち1体は、回り込んで、タルトに襲いかかります。
 絶体絶命のピンチ!
 と、思いきや。
 タケオンの召喚魔法がパワーアップしてたり、猫耳おじーちゃんが前衛で敵の攻撃を引き受けてくれたり、タルトの大砲が相変わらずだったり、チキは動けなくても《プロテクション》を飛ばせたりで、まったく危なげないです。
 2ターンの間、魔剣を護り切ると、黒衣の美剣士は、背中の大剣を抜きました。
「よかろう。ならば、殺すまで!」
 その刹那。
 黒衣の美剣士の前に、まばゆい霧のようなものが降り立ちます。
 ゆらめくそれは、女性の姿となり、立ちふさがりました。
 イベントムービー的なシーンなので、KayataがAボタン連打しました。キュルルルルと、早送りです。
「キ、キサマは、サングリエル!? 何故ここに!?」黒衣の美剣士が、うろたえます。女性は無言。けれど、美剣士はな、にか思いついたのか、ニヤリと笑みを浮かべました。「……そうか。キサマが目を覚ましたということは、我が主の復活は、近い!」黒衣の美剣士が、消えました。まるで、楽しみにしていたアニメがもうすぐ始まるのを思い出したかのような、勢いです。幻影のような女性も、消えました。
 イベントムービー終了。
 取り残されたのは、ブラッディーマーダー。
 あっという間に、倒されました。
 レベル13のエネミーが、3体だったのに……。

 エンディングフェイスです。
 ブラッディーマーダーの死体から、アイテムをかっぱぎ終わると、さっきの女性が現れます。
 とても美しい女性です。半透明の、幻影です。
「私は、マグドゥーラの王女、サングリエル。フォモールの王エラザンデルを、封じる者」
 サングリアルは、魔杯リーアグナスの封印が解かれたことにより、目覚めたみたいです。
 さっきの黒衣の美剣士が、魔王エラザンデルの部下、コッホバールだということを、教えてくれました。
 エラザンデルの霊体を封じているのが、都市マグドゥーラ。魔杯は、マグドゥーラを、霊界から現世に呼び出すことができる、特別なアイテムのようです。まだその方法を、敵に知られてはいないようですが、解析は、時間の問題らしいです。
「……ならば、手段は、ひとつ」カカッ! と、サングリエルの目が光りました。「倒すのです! 今こそ、あの憎き魔王、エラザンデルを、ブッ殺すのです!」
 彼女は、300年前の無念を、晴らそうとしているみたいでした。
「コッホバールが持つのは、魔杯リーアグナスの他に、宝珠ブラック・ウディーレのみ。今なら、殺れます!」
 魔剣カーディアックは、エラザンデルの心臓。魔剣セレブリックは、知恵。ぶっちゃけると、HPとMPです。エラザンデルが蘇ったとしても、HPとMPが激減した状態で、戦えるというわけです。魔眼のふたつも封じているから、魔力も1/3。かなり有利に違いありません。
 とはいえ、それでも、魔王は魔王です。
 どーしようかと悩んでいる、”花鳥風月”のみんな。
 ここでサングリエルは、強硬手段に出ます。
 みんなの手に、光り輝くものが、現れました。じゅっ、と、手のひらに、焼き付きます。それは、光の呪印でした。
「その呪印があれば、陰の森にある、”刻の墓”って呼ばれてる遺跡から、マグドゥーラへ入ることができます。マグドゥーラは、かつて”宝石の都”と呼ばれた、とても美しい街です。是非、いらしてくださいネ! 魔剣カーディアックと、セレブリックは、持ってこないよーに!」
 サングリエルは、いうだけいって、霧のように、消えました。
「……その剣、捨ててっちゃおうか」タルトが、いいました。
「……そーしたいのは、やまやまだけど、さ」チキが、深い深いため息をつきました。

 リグレが、ひょっこりと顔を出しました。顔面蒼白です。
「カ、カヤタ? お前ら、なんなの!?」

 途中ですが、これにてシナリオ終了で、アフタープレイです。
 経験値は、ジュエリーザに挑み、魔剣を死守できたので、60点+フェイトくらい入ったと思います。なんとか、1レベル上がるくらいです。
 時間的にバルバロッサができなかったり、キャラクターの立ち回りの影響で、重要な位置づけにするつもりだったNPCが出せなかったり、宿屋襲撃事件とかなくなりましたが、おおむね、シナリオ通りに進みました。最後のボス戦での圧勝は、想定外でしたけども。つか、シナリオ通りじゃないですね。
 みなさま、お疲れ様でした。
 というわけで、セッション第4回が終了しました。
 全10回を予定しているので、もう中盤です。
 終盤に向けて、いろんな伏線を回収……。実は、伏線張ってるつもりなんです、これでも。いろいろと。後付けとか、無理なの多いですけど。
 そもそも、なんとなくで始めてしまったせいだと思うんですが、キャラクターの世界に対する位置づけが甘く、護るべき者がなく、NPCの存在感が弱いということが、はっきりしてまいりました。
 魔人はいいとして、魔王エラザンデル戦へのモチベーションが、カラッポです。
 もちろん、マスターの責任です。なんとかしないといけません。
 なんとかしたいと思います。
 少しずつ、ですけど。
 まずは、カヤタ。
 あと、次回は、ボス戦がすごいことになりそうです。
 いやでも、経験値稼ぎとアイテム収集だけの、ナイズル的なダンジョンシナリオ(時間制限と条件付きのフロアクリア型)もいいなあ、とか思い始めています。

 セッション第5回目につづく。

 

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