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幻想を抱きすぎ

2008年7月23日 水曜日
この記事の所要時間: 約 2分57秒

 ネタバレとか気にしないで書いてます。

「崖の上のポニョ」を嫁と観てまいりました。立川のCINEMA TWOです。7月19日土曜日の9時30からの回なので、公開初日の初回。満席に近かったと思います。子ども多め。
 宮崎駿監督の作品ってなんかこう、いっつも好きになれないんですけど、この作品は良かったです。”考えるな、感じろ”的な、素晴らしい作品でした。
 声優に関しては、観る前は否定的な考えでした。しかし実際観てみたら、宮崎駿監督の作品って芸能人の声がよく似合うことに気づきました。力が抜けているというか、本職の声優さんの声よりも自然に感じました。
 ストーリーは、環境保全を目的としたマッドサイエンティストの作り出した人面魚が、研究所を脱走して幼女に化け、港町を洪水で襲い、少年をとりこにし、老女を健康にするという展開でした。間違ってないけどこう書くとアレなんで忘れてください。宮崎駿監督のババァ趣味は健在です。
 深いことは考えちゃいけないな、と思いました。
 いろいろと謎みたいな伏線みたいな人間の罪を問う的なナニカがチラチラ出てきますが、それはそれとして置いておきましょう。ぶっちゃけ、関係ありません。それらは、理由として存在してるだけ。
 この作品は、動く絵本。
 アニメーションとして、とても正しい作品。
 色鉛筆風の背景はステキで、そのためだけじゃないだろうけど、1カットが長めになってました。
 子どもに対しては、真っ正面から。
 大人に対しては、童心にうったえる。
 そんな作品です。ピュアなんです。左脳を働かせて観るもんじゃないです。右脳で、感性で、素直にありのままを受け入れるのです。信じれば救われます。想いの強さが世界を変えるのです。なんか書いてて宗教っぽくなってきた。
 個人的には、予想以上のデキでした。良い作品を観たな、と素直に思いました。
 しかしながら、試写会では子どもたちの反応が全く無かったらしく、宮崎駿監督はものっそい落ち込んだらしいです。
 もしかしたら、我々大人は、子どもに対して幻想を抱きすぎなのかも知れない。
 現代には、2ちゃんに犯罪予告を書いて逮捕されちゃうような病んだ子どももいる。両親がパチンコ通いでろくにかまってもらえないとか、幼児虐待とかも多い。宗介みたいに純真無垢で正しい子どもや、ざっくばらんで暖かい家族関係なんかは、すでに東京都では絶滅しているのかも。共感を覚えるより先にあこがれを抱くほど現実とかけ離れた理想的な登場人物。この断絶はもう、仕方がない。つかまあ、この作品に限ったことじゃないですね。
 けれど、劇場での子どもの受けは、なかなか良かったと思います。ただ、隣に座ってたオッサンが、やけに童心に帰っており、子どもすら笑わないちょっとしたことで異様に受けてて、かなり冷めました。このオッサン、楽しみ過ぎだろう。ここであんたが受けるなよと、胸の内で突っ込むのに忙しかったです。
 そういえば、劇場のグッズ売り場に、小さな人面魚がたくさん入ってる網があって、なんじゃこりゃーとか思ったんですが、実際はそれどころじゃない量の人面魚でした。
 あと、スタッフロールがとても簡潔で、驚愕のあまり失禁しそうでした。声優を含めた全キャストが、あいうえお順で一気表示。子どもたちが退屈しない演出の、斬新なスタッフロールでした。これはすごい。
 ちなみに、観る前はポニョの歌を唄いまくってた嫁ですが、観終ったらピタリと止まりました。あれー?
 いゃあ、映画って、本当にいいものですね。

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ものすごく心にキた

2008年2月12日 火曜日
この記事の所要時間: 約 4分42秒

 2008年2月9日土曜日に、「L change the WorLd」を観てきました。立川のCINEMA TWOです。公開初日の初回だったんで、満員でした。つか、子どもが多かったです。
 この作品は、いわずと知れた、劇場版「デスノート」のスピンオフ映画です。監督は、「ザ・リング」でハリウッドに行った中田秀夫。
 いやあ。
 これはアレです。マンガを全巻読破し、劇場版「デスノート」の前編後編を観ていることが、大前提になります。
 そうすると、すごいことになります。
 号泣です。
 久しぶりに、映画を観て号泣しまくりました。
 とても素晴らしい映画です。邦画っていうのは、たまーにこーいう優れた作品があるので侮れません。お金のかけかたも、心地いいくらい丁度いい感じでした。ぶっちゃけ劇場版「デスノート」前編後編よりぜんぜんデキが良いです。
 この映画のテーマは、「失われた父への想い」。
 これがキた。
 ものすごく心にキた。
 死ぬ寸前のLのソファの上にワタリの写真があるのを思い出すだけでグッときちゃうのに、この映画にはそういうアレがいたるところにあって、もうたまんない。回想するだけで泣けてきちゃう。
 演出やキャスティングを含め、いろいろとよくできた作品だと思います。さすが中田監督、サスペンス的な手法も用い、かゆい所に手が届きまくってました。
 Lの強い信念や動向には首尾一貫性があり、違和感がなく、とてもよく伝わってきます。敵の作戦がちょっとというかかなりアホっぽいのはナニですけど、ワタリを中心に置いた理念の対決は、なかなか良かったです。
 あと、少年が出てきたときに、ラスト近くのあのシーンはもう確定していたんですが、それでも号泣してしまいました。ずるい。わかってたのに、ずるい。重みがある。こりゃ泣いちゃうよ。
 さて。
 キャストですが、松山ケンイチはもうLそのものなのでいうことありません。キャラクター造詣が完璧です。つか、マンガ版の本物よりもLっぽい気がしますというかむしろマンガ版の方がLに似てないような気さえしてきます。
 工藤夕貴が、ベテランなのに微妙に下手になっててびっくりしました。演技とか表情とかはさすがなんですけど、喋りが舞台っぽい大げさなものなので、映画の中だとどーにも嘘っぽい。南原清隆もそうで、いや、南原清隆の方はなんでこのひとキャスティングしたんだよ、っていう空気読めない雰囲気で残念でした。
 鶴見辰吾は、相変わらずすごかったです。平泉成もいい味出しました。高嶋政伸はおいしいキャラだと思います。
 そしてこの作品のヒロインの福田麻由子なんですけど、田中麗奈の娘でした。田中麗奈のファースト写真集を持っているワタクシが断言します。福田麻由子は、田中麗奈の娘です。もしくは、タイムふろしきを手に入れた田中麗奈本人です。顔がソックリとかそういうレベルじゃないです。これはちょっとヤバいです。なにこの演技力。今後も期待しまくりです。
 事前に「デスノート」を知ってないとちょっとアレだったかも知れませんが、素晴らしく面白かったです。この作品を観るためだけに、マンガを全巻読破して劇場版「デスノート」の前編後編を観ておく価値があると思います。

 続いて、約45分の休憩を挟み、「チーム・バチスタの栄光」を観ました。立川のCINEMA TWOです。これまた公開初日でしたが、劇場は結構狭かったです。
 えー。
 なんでしょう。
 キャスティングは、最高だと思います。よくこれだけのひとを揃えたなーって関心するくらい。
 阿部寛はいつもの阿部寛でしたが、竹内結子が予想以上にいい味出しているというか萌え萌えな雰囲気で萌えましたし、吉川晃司とか池内博之とか玉山鉄二も良かったです。田口浩正、田中直樹、佐野史郎なんていう個性派俳優もいい味出してましたし、脇を固める野際陽子とか平泉成も良かったです。つか、平泉成が「L change the WorLd」と役柄が微妙にかぶってる白衣系だったので、なんか笑ってしまいました。
 演出は、小ネタとか効いてて素晴らしかったと思います。阿部寛のとこだけは、阿部寛過ぎて阿部寛でしたが。つか、阿部寛って、阿部寛を消費され過ぎじゃないでしょうか。もう阿部寛は阿部寛しか演じさせてもらえないというか求められてないというか。
 えー、阿部寛はともかく、序盤はかなりわくわくさせてくれたんですよ。
 それなのに、サスペンスとほんわか具合が平坦なバランスを保ちつつ、淡々とストーリーが進んでいっちゃいます。それが、ものすごいぬるい雰囲気なんです。必要以上にぬるいんです。
 結局、そのままなんの盛り上がりもなく、ぬるいまま、終わってしまいました。一応どんでんがえしがありましたけど、雰囲気がぬるいので、驚きとかないです。
 ほんとに、なんでしょう、これは。
 とても不思議な邦画です。
 吉川晃司の葛藤とか、もっと深く掘り下げられたと思うんですよ。池内博之との関係とか。とにかくキャラクターたちの背後が一切出てこないので、登場人物たちの厚みがない。深さがない。
 原作は間違いなく面白いと思います。こんなんなっちゃった原因は、脚本なのかな、監督なのかな。もしかしたら、のほほんとした作風が得意なのかも知れない。
 うーん。
 作品自体に納得できない、非常に残念な邦画でした。こんなんだったら、テレビの2時間ドラマでいいんじゃないかな。キャスティング以外、お金かかってなさそうだし。
 そういえば、この作品のCMも、ヤケクソっぽくなってきてますね。
 最近、劇場の狭さが、業界の作品の評価なのかも知れないなー、なんて思い始めてきました。
 残念でした。