2009年5月2日(土)に、「バーン・アフター・リーディング」を観てきました。新宿の、バルト9です。
アカデミー賞受賞監督となった、コーエン兄弟の作品です。主演は、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、ブラッド・ピット。他にも、どっかで観たような有名な役者が、いっぱい出てます。
前にも書きましたが、コーエン兄弟の作品は、大好きです。
サム・ライミと同じくらい、大好きです。
で、この作品、噂を聞いた時から、昔のコーエン兄弟の作品っぽい香りが、プンプンしてました。
だらだらとしてて、間が抜けてて、なぜか緊張感があって、意地悪で、ブラックなユーモアが満載の、特に意味がないストーリー。
ビンゴ! でした。
これは、とてもコーエン兄弟な映画です。
CIAをクビになった男。彼と離婚しようとする妻。彼女を寝取った財務省連邦保安官の男。彼と出会い系サイトを通じて知り合ったスポーツジムの女。彼女の同僚。
みんな、どーしょーもない奴らばっかりです。
ダメ人間品評会です。
彼らの、ダメっぷりが、淡々と、流れます。
コーエン兄弟っぽい!
そして、それぞれの関係が、複雑に絡み合っていきます。
みんな、間違ってます。
行っちゃいけない方向へ、ズンズン進みます。
コーエン兄弟っぽい!
とてもここでは書けないような、アダルトなネタとか出てきます。
ブラックなユーモアが、さりげなく出てきます。
思わず、ニヤニヤしちゃいます。
コーエン兄弟っぽい!
すごい役者ばっかりなのに、とてもおバカなことさせてます。
ジョージ・クルーニーが、とても情けないおっさんです。
ブラッド・ピットなんて、あっという間に笑顔で射殺です。
コーエン兄弟っぽい!
ラストも、あっさり。
この一連の事件で、なんにも学ばない。
コーエン兄弟っぽい!
というわけで、最初から最後まで、コーエン兄弟らしい、コーエン兄弟っぽい、コーエン兄弟の作品でした。
面白かった!
大満足!
ひさしぶりに、コーエン兄弟を味わいました。
「ノーカントリー」も良かったけど、コーエン兄弟らしさでいえば、こっちの方が上だと思います。
サム・ライミも、昔の味を取り戻してくれないかな?、なんて思いました。「スパイダーマン3」は、彼の味が薄すぎでした。
そんなことを思いながら、CIAマンの歌を聴いてました。スタッフロールが終わったので、含み笑いしながら席を立ったら、嫁は憮然としてました。「久しぶりに映画観て嫌な気分になった」といってました。
あれー?
あ、そうか。
この映画、ひとを選ぶっていうか、ほとんどのひとは受け付けないんじゃないでしょうか。たぶん、普通のひとならドン引きします。
だって、コーエン兄弟すぎる。
もともと、超B級カルト映画のひとですし。
アカデミー賞受賞監督になったことをいいことに、豪華な役者を揃えて、本気出しちゃった、って感じの映画です。
そういや、劇場も、ガラガラでした。
いゃあ、映画って、本当にいいものですね。
‘コーエン兄弟’ タグのついている投稿
バーン・アフター・リーディング
2009年5月10日 日曜日BOSSのCMで萌えてる
2008年3月21日 金曜日
「ノーカントリー」を観てきました。立川のCINEMA TWOです。客の年齢層高かったです。
監督脚本は、この作品でアカデミー賞に選ばれたコーエン兄弟。ハビエル・バルデムも、アカデミー賞助演男優賞に選ばれました。でも、最近BOSSのCMで萌えてるところがとてもキュートなトミー・リー・ジョーンズが、いちおう主役です。
遠い昔、サム・ライミ監督と一緒にバカやってたコーエン兄弟の作品は、好きなのにあんまし観てませんでした。「XYZマーダーズ」を除くと、「ファーゴ」と「オー・ブラザー!」しか観てません。それでも、「オー・ブラザー!」は最高に大好きな映画のひとつです。
その大好きな「オー・ブラザー!」的なニオイを、この作品から感じました。たぶん「ファーゴ」と「オー・ブラザー!」が混ざったような作品。その予想は、だいたい正しかったです。
コーエン兄弟の作品って、とてもカントリー色が強いと思うんです。砂。岩。泥。広大な土地。広大な世界。その中で、ちっぽけな人間たちが、なにかを起こす。でもそれは、広大な世界を変化させるようなことじゃない。なにも変わらない。けれど事件を通して、ひとびとの心には確実になにかが残る。
”ヒゲ”、”屈強なアンガールズのひと”、”BOSSの萌えのひと”、この3人が主人公。”BOSSの萌えのひと”は主人公なんだけど、傍観者なのであんまり出てこない。
偶然”ヒゲ”は大金を手に入れ、イカレた暗殺者である”屈強なアンガールズ”に執拗に狙われる。”BOSSの萌えのひと”は”ヒゲ”を助けようとするけど、最初から己の無力を悟っている。
彼らは、彼らなりの行動規範があり、決してそこからぶれない。追う者、追われる者、考える者。悩んだり迷ったりしても、決してそこから外れない。絶対に引かない。そしてそれは、避けられない惨劇へとつながる。
スピーディーな展開とか、サスペンスとかはありません。ただ血が流れ、誰もが淡々と追い込まれていき、結局あっけなく殺される。そしてラストは、衝撃のブツ切り。結局なにも解決しない。終わらない。変わらない。傷だけが残る。
ものすごく、しんみりしました。
さすがコーエン兄弟。
あと、この映画はアメリカそのものであり、たぶんアメリカ人じゃないと真に共感できないんじゃないかなーと思いました。小ネタを含めて。
とっても面白かったです。