「レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―」を観ました。立川の、CINEMA TWOです。2009年4月10日公開だから、だいぶ経っちゃいました。
前作で、焦らしに焦らしまくった、赤壁戦です。
いよいよ、決戦です!
トニー・レオンが、金城武が、中村獅童が、ピエール瀧が、血相変えて、気を吐きます!
果たして、孫権劉備連合軍は、曹操に勝てるのか!?
勝てます。
まあ、歴史がそーなってますし。
すでに、ネタバレしてます。
びっくりしました。
この「レッドクリフ」って、とても貴重な位置づけの三国志でした。
基本的に、三国志って、蜀じゃないですか。三国志演義でも、劉備サイコー! みたいな雰囲気じゃないですか。人形劇でも、劉備様ステキー! じゃないですか。そうでもなきゃ、曹操スゲー! みたいな感じじゃないですか。三国志って。
三国の中で、持ち上げられるとしたら、蜀か、魏。
主人公になるとしたら、劉備か、曹操。
地味なんですよね、呉って。
孫堅、孫策の時代は、わりとブイブイいわせてたんですよ。
でも、孫権の時代になると、落ち着いちゃう。
戦国時代に落ち着いちゃうっていうのは、実はとてもすごいことなんですが、やっぱ地味なんですよ。呉の民には悪いですけど、派手さがない。
陸遜、呂蒙、甘寧、周泰、蒋欽、徐盛、陳武、凌統とかいますけど、本格的に活躍するのは、もうちょっと後ですし。しかも、一瞬の輝きです。
赤壁の時代には、韓当、黄蓋、程普というベテラン武将がいますが、イマイチぱっとしません。周瑜だけが、桁違いに輝いている時代です。
だから、今までは、ありませんでした。
いや、ないことないんですが、やっぱり地味だったんです。
でも、違いました。
この映画は、違いました。
そうです。
「レッドクリフ」は、歴史を突き抜けて呉が大活躍しまくっちゃう、超三国志だったのです!
てっきり、おいしいところを孔明が、劉備軍が、全部持って行くのかと思ってたら、違いました。
前例が、通用しません。
なにしろ、この映画の劉備は、とんでもないダメ人間です。完全に落ちぶれちゃった、ペシミストです。だんごを作るしか、能がありません。まるで威厳もカリスマもありません。関羽や張飛、趙雲までもが、愛想を尽かして勝手に戦場へ向かってしまうくらいです。
なので、劉備軍は、主役じゃありません。
孔明すら、ニコニコしているだけ。
ですから、周瑜が大活躍。全てを背負った周瑜が、苦悩しながらも大活躍。
小喬も、身を賭して、健気に大活躍。
孫尚香なんて、度肝を抜くスパイ活動で、超活躍。本当は、劉備のとこへ行くハズなのに、ペシミストな劉備にまったくなびくことなく、敵陣で恋をしちゃったりします。胸が締め付けられる乙女っぷりを、見せてくれました。正直、ここしか泣き所ありません。
甘興は、見事に爆死してくれました。初めからこの為に出てたんだ、ってくらいの、渾身の死にっぷりでした。
黄蓋の苦肉の策は、まさかの却下。語源がなくなっちゃっいました。
そして、ありえないことに、孫権までもが、前線に出て戦い出します。彼は、呉の主ですよ。王ですよ、王。いずれ呉の皇帝を名乗る男が、最前線で、戦っちゃいます。
すごい。呉がすごい。
曹操を追い詰めた周瑜の周りに、孫権、黄蓋、関羽、張飛、劉備が、勢揃い。やけに厚遇を受けている趙雲は、得意の槍アクロバティックで、小喬を奪取。孫権の矢が、曹操の髪留めを射ました。
本当に、すごい。呉がすごい。呉がすごいなんて、すごいすごい。
あまりにすごすぎるので、どう考えても、このあと三国志になりそうにありません。
だって、赤壁の戦いって、劉備軍がどさくさにまぎれて荊州南部をごっそりいただいちゃう、っていう戦いなんです。確かに、曹操軍と呉軍は戦いましたが、史実だと、疫病で曹操軍が自滅したってくらいで、そんなに重要じゃないんです(復旧に時間かかったけど)。放浪軍だった劉備が、呉を騙してついに領地を持つ、ってとこが肝要なんです。
しかし、「レッドクリフ」には、それがありません。
周瑜がすごすぎるし、劉備はなにもかもを諦めちゃってますから。
このあと、間違いなく、趙雲、関羽、張飛は、呉の武将になります。南郡攻防戦はなさそうなので、周瑜は死なないでしょう。確実に、天下二分の計。隠居した劉備と孔明は、呉が魏を滅ぼすのを、ただ眺めているだけになることでしょう。
興奮してこんな妄想抱いちゃうくらい、すごい映画でした。
いゃあ、映画って、本当に面白いものですね。
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レッドクリフ Part II
2009年4月28日 火曜日
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